美智恵は令子を睨んだ

「転生したばかりの無害な妖怪だから退治する必要無かったのよ。 Ｇメンは保護するべきだと国に訴えていたんだけど… 国が無視してＧＳを雇って退治したのよ。 令子には止めるように言ったんだけど……」


美智恵は呆れたように話した


「だって…　しょうがないじゃない！！ お金が好きなんだもん！ 違約金払いたくないわ！ それに退治したのはあんた達なんだし… 恨まれるのはあんた達ってことで…」

令子は必死に言い訳をしていた

「令子！！」

「美神さん！！」

美智恵とおキヌは怒り露わにして叫んだ

おキヌも珍しく完全に怒っていた


そんな中

冷静だったのは横島だった……


「知ってて受けたんですか…？」


横島らしくないような険しい表情で令子に聞いた


「もちろんわかってたわ。 だから何？」

令子は当たり前だと言わんばかりに言った


ルシオラは横島の手を握る

横島の怒りが頂点に達しているのに気がついていた


「美神さん… 俺… 信じてたんですよ…最後の最後まで… なんだかんだ言っても助けてくれると思って… 無害な妖怪を殺すはずないって信じてたんですよ…」


横島は悲しみに満ちた顔で令子に話した

令子は無言で黙ったまま…


「俺、バイト辞めます。 今までお世話になりました。」

横島は深く頭を下げた

「ちょっと待って横島君！ もう少し話し合いましょう」

令子とおキヌはショックで言葉が出なかったが

美智恵だけはすぐに止めた

横島が本気なのを理解していたから…


「もう話すことは無いです。」

横島は言葉少なく返した

そんな時ルシオラが話し出す

「隊長さん 美神さん、もうヨコシマを利用するの止めてもらえないかしら？ ヨコシマが今までどんな生活をしてきたか知らないとは言わせないわ。」

ルシオラは冷たく言い放った

令子がまた横島を裏切って傷つけたのだから…


「ヨコシマの食事は毎日カップ麺とパンの耳… そんな食事しかしてないのよ ずっと… １日三食、食べれないのが当たり前で、たまに牛丼や弁当を買うのがご馳走… 成長期の人間がそんな生活してどうなるかわかってるの？ 違法に安い時給で命の危険な事ばかりさせて… 学校にも行けない生活でヨコシマはとうとう留年したわ。 ヨコシマはあなたの便利な道具じゃないのよ！ それに、あなた達はヨコシマをスパイにした。 そのせいで今もヨコシマはすれ違う人達に睨まれたりしてるのよ！」


ルシオラは泣きそうだった

横島はそんなルシオラをしっかり抱きしめた


「ルシオラ… もういい… 一からやり直そう。」

横島は嬉しかった


ルシオラが自分をそこまで考えていてくれて……



一方令子とはショックを受けていた…


令子は横島が自分に絶望をしたのを感じていた

自分から離れるはずの無い、と言う根拠ない自信が崩れていた…

そして自分の気持ちを整理出来なかった

令子は横島が側にいて当たり前で、自分に尽くして当然だと思っていた


それは自分の事しか考えてなく、自分に都合がいい関係だった

横島の事は考えてなかった


そんな中
西条が口を開いた

「スパイの件は訂正したはずだが…」

「西条さん… あれだけの事件があって少しの訂正で人間は納得するの？ 心の中では疑うでしょ？」

ルシオラの問いかけに西条は何も言えなかった


「横島君、少し冷静に話し合いましょ？ 学校の件や他もなんとかするわ」

美智恵は一人冷静だった


「結構です。 もう俺達には関わらないで下さい。」

横島はそしておキヌを見た


「おキヌちゃん、今までありがとう。 おキヌちゃんは今も信じてるし、大切な仲間だと思ってる。 一緒に働くことは無いけど、またいつでも会えるさ。 じゃあ、またね」


横島は優しくおキヌに話して、ルシオラを連れて帰っていった…