真の歴史へ

「未来から? 何馬鹿なこと言ってるんだい!」

信じられないといった表情の両親に、横島は苦笑いして文珠を出す

「忠夫 それはなんだ? ビー玉か?」

親父は覗き込むように話す


「これは文珠。 俺の霊能力だ 今から未来の親父達を見せるから、だいたい3年くらい未来の親父達だ」

文珠は【映】が光だす…

そこには少し老けた大樹と百合子が横島のボロアパートにいる


「これは俺が高校の入学して引っ越しの時だよ」

大樹と百合子は目の前の自分達を見て考え込む

息子の忠夫は嘘をついてる顔ではない

しかも寝る前とは全く違う大人の表情で一緒にいる女性を見ている

百合子はため息をつく…


「全部は信じられないけど… あんたが私達の馬鹿息子で、その人達と未来から来たのはわかったわ」


「百合子……」

「あなたこの子は嘘はついてないわ ただ理解出来る範囲ではないけど…」

「でもその人達は何者だい? 人間ではないみたいだけど?」

百合子の問いかけに横島は驚いたが紹介する


「ルシオラは魔族だよ タマモは妖弧 あと、ここには居ないが神族の小竜姫がいるよ」


「神族? 魔族? 妖弧?」

百合子も神魔族や妖怪の存在は知っていたが、神魔族は見たことはないし、仲良くしてるのは違和感がある


「神族は神さまで、魔族は悪魔、妖弧は妖怪だろ? なんであんた達は一緒にいるんだい?」

それにはルシオラとタマモが苦笑いして話し出す

「それはヨコシマがいるからよ ヨコシマは神魔妖の区別しないからね」

「私達は横島と一緒にいるのが一番なのよ。だから種族は関係ないわ」

ルシオラとタマモはそう話すと横島にぴったり寄り添う


横島も愛おしそうにそんな二人を見ている


その様子に大樹は…

「忠夫のクセに 忠夫のクセに 忠夫のクセに 忠夫のクセに」

小さく呟いている


百合子は呆れながら無視する

「で、これからどうするんだい?」

「お袋いいのか?」
横島は百合子の早い決断に驚いた


「いいも悪いもないんだろ? やることあるら頑張るしかないじゃないか」

「それにルシオラさんとタマモさんだっけ? これからどこに住むんだい? 行くとこないなら家に居ていいよ」

百合子は優しい表情でルシオラとタマモを見ている


「じゃあ、今日からお世話になります」
ルシオラとタマモが頭を下げる


「忠夫… あんたがどこから来ても、あんたは私達の馬鹿息子には変わりないんだよ 困ったら相談するんたよ」

「じゃあ詳しい話は明日にして、もう寝るか 二人は忠夫の部屋がいいか…」

「私は狐になって寝るから大丈夫よ」

「私も蛍になりますからお構いなく」


そうして、横島の過去の初日は終わった



次の日横島が起きたら、ルシオラはすでに居なく、タマモは子狐で丸くなって寝ている


横島がふらふら起きてリビングに行くと百合子とルシオラと小竜姫が朝食の用意をしていり


「しょ! 小竜姫?」

横島が驚いて呼びかけると百合子が話し出す


「忠夫 遅かったね もうご飯は出来てるわよ」

そしてルシオラも微笑んでいる

「おはよう ヨコシマ」


ただ小竜姫はちょっと頬を膨らませ目を潤ませながら横島を見つめる

「横島さん… なんで私だけ迎えに来てくれなかったんですか? ずっと待ってたんですよ…」

横島は困ったような焦ったような顔になる

「小竜姫ごめんよ~ 夜中に妙神山はまずいかと思ってさ~ 機嫌治してくれよ」

横島はおろおろして小竜姫の機嫌をとる


「知りません!」

小竜姫が拗ねて、ぷいっと横を向く


「小竜姫~ 頼むよ~」

横島は小竜姫をそっと抱きしめる


「もう… 横島さんずるいですよ そんなことされたら怒れないじゃないですか」

横島と小竜姫は見つめ合い、甘い空間を作る…


「ヨコシマ? お義母さんみてるわよ」
ルシオラの突っ込みに二人は、ぱっと離れて顔を赤らめる


「忠夫~ 一応中学生なんだからね 忘れるんじゃないよ しかも親の前で…」

百合子は少し呆れていた
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