GS横島 運命と戦う者

「まあ、座れよ。 せっかく来たんだしな…」

横島は先ほどの表情とは打って変わって、西条を疑うような表情では無くなる


「ヒャクメ、覗いてるんだろ? みんな連れて来てくれ」

横島が何処とも無く話しかけると、ヒャクメが苦笑いして現れる


「お久しぶりなのね~」

ヒャクメは西条に笑って誤魔化して横島を見る


「横島さん、みんな集めて何するのね?」

「ああ、西条の送別会の変わりに飲もうかと思ってな」

不思議そうなヒャクメに横島は自分の考えを伝えた


「横島君!?」

この突然の話には西条が驚く

「帰りは文珠で送ってやるから心配するな」

横島は西条の問いかけに帰りの話で答える

西条は帰りの心配では無く、横島の突然の変化に驚いていたのだが…


横島と西条は令子を挟んでいがみ合い険悪だったが、令子が居なくなればいがみ合う必要が無い

元々、過去を根に持つタイプではない横島は、西条さえ変われば今更憎しみは無いのだ


「ルシオラ達はどうした?」

横島はヒャクメを見て他のメンバーについて訪ねる 
「今お酒の用意してるのねー 小竜姫は料理も作ってるから、もう少し待つのね」

ヒャクメは心眼でルシオラ達を探すと、すでに料理をしたりお酒の用意をしていた

ルシオラや小竜姫達は横島に呼ばれた時点で、ある程度横島の考えが読めていたようだ


それからしばらくすると、妙神山のメンバーが一同に集まって、簡単に紹介をして酒をグラスに注ぐ

テーブルには料理が数種類並び、即席にしては豪華な送別会になる


ルシオラ、小竜姫、タマモ、ベスパ、パピリオ、ヒャクメ、ワルキューレ、ジーク、斉天大聖

それに横島と西条


蒼々たるメンバーである

西条はあまりの神魔の数の多さに目を見開く


「まあ、堅苦しい挨拶は抜きにして、西条の未来を祈って乾杯しよう」


横島がみんなに言葉をかけると、乾杯をして飲み始める


「それにしても… 凄いメンバーだな…」

西条は違和感なく酒を飲む神魔達を眺めて不思議そうに呟く


「そうか? みんないい奴だよ」

横島には当たり前の環境だが、西条からしたら驚きの環境なのである

現在の神魔界の状況を考えれば、ここは不思議な世界に見える


「私達は変わらないわよ。 今までもこれからも… 西条さんには南極の後、助けてもらったわね。 ありがとう」

ルシオラが西条に酒を継ぎ、南極の後自分とパピリオを人界に住めるようにしてくれたお礼を言った


「いや、気にしないでくれ。 あれは僕にも別の意図があったからな…」

西条は苦笑いする

あれはルシオラと横島をくっつけて、自分が令子に近付く為にしたのだから…


「理由はどうあれ、私達にとってはあの処置は本当に助かったわ。 あの時、あなたが居なければ私達はどうなっていたか…」

ルシオラも苦笑いしながら答える

西条の意図はルシオラも良く知ってはいる

だがあの時、ルシオラ達姉妹を助けれたのは事実なのだ


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