番外編・ルシオラ達の海水浴

ガラの悪い連中に絡まれてる横島達だが、助けに入ろうとする者はいない

大樹や百合子が気付けば助けに入るだろうが、幸か不幸か気付いてなかった

まあ絡まれてると言ってもまだ少々口が悪いナンパのレベルだし、下手に助けに入ると余計に事態をややこしくしそうなのだが……


そんな周りの人々が見て見ぬ振りをする中で、一瞬だけタマモの目が光ったのに気付いた者は居なかった

そのまま横島達は男達の横を素通りして海に歩いてゆく

残された男達はまるで横島達など居なかったかのように、騒ぎながら他の女を物色しに行ってしまう


「お見事です。 妖力を全く感じませんでした」

男達を通り過ぎた後、小竜姫は感心したようにつぶやく

あの一瞬の事を小竜姫は気付いてはいたが、それは自分が当事者だからである

全く力を感じないあの術では、第三者だったら小竜姫ですら気付いたかわからない


「あの手の馬鹿は昔っから変わらないのよね。 進歩してるようで進歩してないわ」

人間の文化や文明は進歩したが、個々の人間はあまり変わらないとタマモは言う

無論違う部分も多いのだろうが、力に過信する男が好き勝手に女を求めるなど昔はよくあったのだろう


「幻術か?」

「幻術と魔眼の中間みたいな感じかしらね。 一時的に一瞬の記憶を消したのよ。 前世で変な男に目を付けられた時に使ってたの」

術の詳しい内容を尋ねる横島に、タマモは幻術と魔眼の両方の性質があると説明する

金毛白面九尾のタマモは魔眼を使えるが、彼女はそれを主に幻術に利用していたのだった


「タマモらしい術だな」

シンプルな感想を言う横島に、小竜姫とルシオラも頷く

強大な力や術を持ちながらも争いを好まない金毛白面九尾は、力の使い方が独特だった

戦いを避ける術は他の誰よりも得意かもしれない


「そんな事より泳ぎましょ。 私さ、今の泳ぎ方あんまり知らないのよね~ よろしくね、横島」

邪魔者が居なくなった四人は海に入りが、ルシオラ達三人は現代の泳ぎ方など知らなかった

タマモは古代の泳法なら知っているかもしれないが、流石にそれで泳ぐのは恥ずかしいようだ

妖艶な笑みで教えてとウインクするタマモに、横島は照れたような笑顔を浮かべて頷くしか出来なかった



それから横島による簡単な水泳教室が行われるが、たいした苦労もなく三人はある程度の泳ぎを身につけていた

基本的に横島達は空を飛べるし、海中であれ同じ要領で移動は出来るのだ

それに肉体がないため呼吸も必要ないので、ある程度の泳ぐ形さえ身につければ問題なかったのである

結局泳ぎ方を教えるという名目で横島はボディタッチしながら三人を指導していくが、端から見ればイチャついているようにしか見えなかった

タマモやルシオラはもちろんだが、少し控えめな小竜姫ですらその状態なのだから横島が周りから嫉妬の視線を集めていたのは言うまでもない


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