番外編・ルシオラ達の海水浴

「どう? 似合う?」

「ブッ!!」

おそらく店で一番きわどいだろうビキニを自身の体に合わせてみせるタマモに、横島は思わず噴き出してしまう

本気で買う気はないのかもしれないが、横島は想像しただけて動揺したようだ

かつて傾国の美女と伝説になったタマモの美しさは、やはり次元が違うのかもしれない

まあルシオラや小竜姫も誰が見ても美女だが、女の色気に関してはタマモが上である


「そんなの着たら一日中ナンパ男が絶えなく来るぞ? ってか行き過ぎはダメだ。 もっと普通のにしろ!」

きわどい水着ばかり選ぼうとするタマモに、横島は困った表情でタマモに似合う普通の水着を自分で探し始める

そんな横島の姿にタマモがニヤリとしたのだが、横島本人は気付かない

横島に水着を選んで欲しいが普通に頼むのもつまらないので、からかい半分で横島が水着を選ぶように仕向けたようだ


「恋敵じゃなくて本当によかったわ」

「全くですね」

横島をからかいつつコントロールするタマモに、ルシオラと小竜姫は改めて味方でよかったと感じる

ルシオラも小竜姫も女として負けるつもりはないが、恋愛で一番戦いたくない相手は間違いなくタマモだった

数千年生きて美しさで伝説になった前世を持つタマモが相手では、恋愛経験の乏しい二人は勝てる気がしない


「とりあえずこれなんかどうだ?」

そんな二人が見ている中で、横島は少し大人しめのビキニをタマモに選んでいた

スタイル抜群なタマモでは、あまり地味な水着はダメだと判断したようである


「うーん、まあいいかな。 ほら次が待ってるわよ」

口ではまあまあと言いながら選んだ水着を嬉しそうに合わせてみるタマモに横島はホッとしたのもつかの間、背後には少し羨ましそうなルシオラと小竜姫が居た


「ヨコシマ、もちろん私達のも選んでくれるわよね?」

とっても優しい笑顔なのだが何故だか微妙に迫力があるルシオラに、横島は無言でコクコクと首を縦に降る

正直言うとファッションセンスなど全く自信がないから自分で選んで欲しいと言いたいのだが、一番ファッションに興味を持つタマモの水着をすでに選んでしまった為に言い出せなかった


(ハメたなられたな……)

気楽に待っていればいいと安易に考えていた事を読まれてタマモにハメられたと感じる横島だが、文句を言うほど嫌な訳ではない

まあ自分のファッションセンスに自信がないだけに不安ではあるが、ぶっちゃけ何を着ても似合う三人なのでいいかと考える事にしたようだ


それから横島は悪戦苦闘しながらルシオラと小竜姫の水着を選ぶが、結局ルシオラは知的なイメージに合う水着で小竜姫は肌の露出が少ない水着になった

ついでに店内で着替えた三人と横島だが、三人の水着姿に自然と店内の人の視線が集まったのは当然だろう


(普通にモデルなんかよりも美人だからなー 幸せなのはわかってるが、俺じゃ釣り合ってないな)

中学生の横島と20才くらいに見える三人では、せいぜい誰かの弟くらいにしか見えない事に横島は軽くため息をはく

いっそ文珠で自分も大人に変化しようかとも考えるが、そんな事を気にしないルシオラ達にそのまま連れられて海に向かっていく


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