真の歴史へ・その四

一方西条達の方だが、こちらは次々にやって来る動物霊に撤退する事が出来ずにいた


「ちょっと、なんでこんなに動物霊が来るのよ! あの二人は何してるの!!」

結界の内側から動物霊を除霊する令子・西条・唐巣だったが、次々にやってくる動物霊に焼け石に水である

オカルトGメンの二人の助手などは震え上がって使い物にならないほどだ

令子は先に行った横島達に怒りを向けるが、唐巣は一つの仮説を立てて無言のままどうするか考えている


「私は勘違いしていたようだ。 死霊使いだから敵は一体だと考えていたが、敵は複数だったのかもしれない」

「そんな……希少能力である死霊使いが複数居るなど……」

唐巣も西条も相手が死霊使いだと絞り込んでおり、そのつもりだった

しかし滅多にいない死霊使いが複数だとは考えてなかったのだ


「おそらく横島君達は我々の周りに居る相手とは別の相手と戦っているんだろう。 流石の彼らも相手の数までは予想出来てなかったしね」

「動物霊に騙されて引き離されたか、一旦撤退したんじゃないの?」

唐巣は現状から複数の相手が居ると確信するが、令子は希少な死霊使いが複数居るよりは横島達がヘマをした可能性が高いと考えている

これはやはり令子が横島達を良く知らない事が原因だろう


「美神君の言う可能性もゼロではないが、我々は複数居る事を想定した方がいい。 とりあえずは撤退が先だがね」

役に立たない令子の意見を軽く流した唐巣は、複数の相手が居る事を考慮しながら撤退の方法を探していく



「何処ニ行ッタ!! サッサト出テコイ!」

さて横島達の方だが、こちらは戦車で銃や砲弾を撃ち暴れ回るネズミ達から隠れたままだった

除霊事態はさほど難しくないが、他に不測の事がないか密かに探っていたのだ


『これ以上は想定外の物はないみたいだわ』

『どのみち除霊するしかないんだろうな』

慎重に考えていたタマモと横島だったが、周りを取り囲む動物霊達は数を増している

多少リスクがあるがこれ以上動物霊達を集めさせるのはまずかった



『3……2……1……』

反撃に出ようと決めた二人はタイミングを合わせて戦車のある室内に飛び込む

ネズミ達は人間を操り戦車で横島とタマモを狙うが、戦車の場合撃てる方角が分かりやすく砲口や銃口の位置にさえ気をつけてれば問題はなかった


「キサマ!!」

戦車の上に居たネズミのうち二匹が横島に霊波を送り横島を支配しようとするが、元々のスペックが違い過ぎるためもちろん効果はない


「邪魔よ!」

横島が囮となり戦車と二匹を引き付けてる間にタマモは戦車の上の残り一匹を退治して、戦車を動かしてた人間を保護する


「降伏しろって言っても無駄なんだろうな」

状況が不利だと知るや逃げ出す二匹のネズミを、横島は霊波砲で殺さない程度に気絶させた

未来よりネズミが増えた理由やどうしてここに居て戦車など動かせたのか、聞きたいことがいくつかあったためである


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