GS横島 運命と戦う者

雪之丞が加速空間を出た日…


令子はGメンの特殊施設内で酒を飲んでいた

床にはウイスキーやらブランデーやらたくさんの高級酒の瓶が散乱していた


令子は一人でブツブツ呟きながら飲んでいる

そんな中、美智恵と西条が令子の様子を見に来た

美智恵は令子の様子を見て呆れたような顔をしていた

「令子… 飲み過ぎよ?」

美智恵は散乱した酒瓶を片付けながら令子に話した

「ママに西条さん… 毎日毎日、こんな場所に閉じこもってやってらんないのよ!!」

令子は目が座っていた

巻き舌で美智恵と西条を睨んで愚痴をこぼす

美智恵はため息をついて、令子の隣に座る…


「先日横島君に会ったわよ。 彼… いい男になってたわ…」

美智恵は令子の飲みかけの酒を取り上げて、飲んで話した

西条は少し離れた場所に座り静かに見ている


令子は横島の名前に反応した

一瞬…

複雑な表情をした


「そう…… 私には関係無いわ…」

令子はすぐに面白くなさそうな顔で呟いて、ブランデーを瓶ごとラッパ飲みした 
「本当は会いたいんでしょ? いい加減素直になったら…?」

美智恵は優しい口調で令子に語りかける


令子は美智恵を睨んだ

「今更どのツラ下げて横島クンに会いに行けばいいの!? もう無理なのよ!!」

令子は相当酔っ払っていた

普段なら言わないような本音が出ていた…


「令子…」

美智恵はそれ以上言えなかった…

最早横島との関係修復が無理なのは、美智恵自身理解していたのだから…


「あの戦いがある前は楽しかったわ… あの馬鹿が居て、おキヌちゃんが居て… 毎日セクハラされて、そのつどシバいて… ずっと続くと思ってたのに……」

令子はどこか遠くを見つめながら呟いていた



美智恵はかける言葉が見つからなかった…

不器用すぎて、人の愛し方もしらない娘に……

運命から娘を守る為、全てを犠牲にしてきた…

その結果…

娘の命は守れたが……



「令子… 戻ってみる? 楽しかった頃に…」

美智恵はこんな娘を見てられなかった…

そして、つい話していた

それはやってはいけないこと…

神魔により禁じられた行為

現在の神魔の関係が緊張してる中で行えば、どうなるかわからない…


それでも…

美智恵は娘に幸せになって欲しかった


他がどうなってもいい…

ただ娘の幸せだけを願っていた



「嫌よ! 私は逃げない… 私は美神令子よ! 世界が滅んでも生き残ってみせる……わ……」

令子は強い口調ではっきりと言ったが…

途中で寝てしまった…


美智恵はそんな娘に自分の上着をかけて、静かに見つめた


「本当に不器用な子ね… 私とあの人の悪いとこだけ似たわね…」

美智恵は苦笑いして、酒を飲んだ


そんな中、西条が美智恵の隣に座る

「令子ちゃんももう少し素直になってればな…」

西条は令子を見て呟いた


「あら、西条君は横島君が嫌いじゃなかったの?」

美智恵は西条の言葉を意外そうに聞いていた


「僕はもちろん嫌いですよ。 でも… 令子ちゃんには幸せになって欲しいですから… それに… 横島君の代わりを出来る人は居ませんよ」

西条は苦笑いして美智恵に話した


「そうね… 彼が居たから奇跡が起きた… 他に令子が助かる方法は無かったのよ…」

美智恵は次々に酒を飲みながら話していた…


「先生…」

それは、西条が初めて見た素顔の美智恵だった


それは娘を想う気持ちで溢れてる

普通の親だった…


「彼は凄いわ… 奇跡を具現化した文珠… それに、神魔妖… 全てを惹きつける魅力… 本当に誰にも代わりは出来ないわ…」


美智恵は酔っ払っていた

そして、淡々と語っている


西条は静かに聞いていた…


しばらくそんな会話が続いた


結局その日美智恵は、令子と一緒にGメンの施設に泊まった


西条は仕事が残っていた為、一人車でGメンの事務所に向かっていた

39/60ページ
スキ