真の歴史へ・その四

そのまま地下に降りていく横島達だったが、タマモは離れた場所に戦闘らしき霊力を感じていた


「どうも誰かが動物霊と会ったようね」

「本当かい? あまり近寄ると厄介だな」

タマモは他のGSがすでに動物霊と接触した事を告げるが、唐巣は僅かに困ったような表情をする

この場合あまり近寄ると邪魔になる可能性や、巻き込まれる可能性があるのだ

まあ相手が顔見知りならばまだいいのだろうが、知らないGSだと依頼の横取りを狙ってると勘違いされるとGSに攻撃される可能性もない訳ではない

ややこしいオカルト業界において、他者の除霊には関わらないのが暗黙の了解である


「他にも結構いるわね。 三組ほどこの下水道で調査してるわ」

相手がネズミの死霊使いと聞き超感覚や術で探しているタマモだったが、GSと動物霊が明らかに邪魔だった

加えて無関係な浮遊霊や妖怪も僅かに居るため、探すのは大変である

結局横島達は戦闘を避けるように調査していくが、暗くジメジメした下水道にタマモの表情は険しい

なまじ嗅覚がいいだけにその臭いはキツイようだった


「また会ったわね。 でもまあ同じ依頼調査してるんだし当然か」

下水道を慎重に進んでいた横島達だったが、またもやオカルトGメンの令子達に出会ってしまう

彼らは違う場所から来たらしいが、同じ依頼を受けてるのだから会わない方がおかしいくらいである


「何か掴めたかい?」

「特に目新しい情報はないです。 と言うか、オカルトGメンを見ると他のGSは露骨に嫌そうな顔をするので我々の情報は一般人からしか集まりませんよ」

唐巣はやる気のなさそうな令子に苦笑いを浮かべつつ西条と情報交換をするが、西条の方はあまり情報を持ってないらしい

唐巣の場合は知り合いのGS達と情報交換をしながら来たが、それは人徳がある唐巣だから出来ることである

普通は他のGSに情報など簡単に教えないし、商売敵のオカルトGメンには露骨に嫌な顔をする者がほとんどなのだ


「今日は小竜姫様は居ないのね。 小竜姫様ならさっさと片付けてくれそうなのに……」

一方令子は横島とタマモを見て、小竜姫が来てればさっさと事件が片付いただろうとため息をはく

横島とタマモもそうだが、令子もまた下水道など早く出たいのだ

西条はオカルトGメンのメンツなどを考えて真剣だが、令子とすれば誰が解決してもいいから早く帰りたいらしい


「小竜姫もそんなに万能じゃないですよ。 調査とかより戦闘向きですし、それにあんまり目立つのはまずいですから」

「公然の秘密なんでしょ? 別に事件の一つや二つ片付けても誰も文句なんか言わないわよ」

ろくに知りもしない小竜姫に頼る令子に横島は渇いた笑いを浮かべるが、令子は暗に小竜姫を呼んでさっさと解決して貰えと言いたげである

流石に小竜姫を呼べと面と向かっては言わないが、視線や言葉にはそんな圧力にも似た期待が見えていた



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