真の歴史へ・その四

本来ならば一本化や協力が理想なのだが、宗教や派閥があるオカルト業界では他者との協力は驚くほど難しい

まあ六道家のような力ある者が動けば別だが、個別な依頼にいちいち動くはずはなかった

今回は特に人的被害がない事もあり、依頼の解決は早い者勝ちのような状況である


「横島、オカルトGメンよ」

GSが多い事で微妙な表情の横島と唐巣だったが、その時タマモは離れた場所に居るオカルトGメンの西条と令子を見つけていた


「業界人大集合って感じだな」

面倒事にならなければいいと願いつつため息をはく横島だったが、オカルトGメンの西条と令子もまた複雑な心境だった


「私達必要なの?」

「この依頼は国が絡んでるからこちらは引けないな。 それに民間GSに遅れを取れば後々面倒になるよ」

横島達や他のGSと同じく動物霊絡みの仕事で来たオカルトGメンだったが、こちらは組織のメンツもあり民間GSに先を越される訳にはいかない状況である


「それでわざわざGS犬まで連れて来た訳ね」

組織としての理論に令子は半ば呆れながらも視線を前に向けると、世界最高のGS犬と言われるマーロウがある一点を見つめていた


『あれがマーロウね。 この距離で正体を見抜かれるとは思わなかったわ』

『俺の事も見てるな。 なんか気付かれたか』

マーロウが見つめていた先はタマモだった

およそ三百メートルは離れているのだが、タマモの正体と横島の力を見抜いてるらしい

二人は念話で驚きと対策を相談するが、マーロウはタマモと横島には何もせずに西条と令子と共に捜査に向かっていく



「まさかオカルトGメンまで来てるとは…… 彼らに任せたいとこは山々なんだが、こちらも頼まれた仕事なのでね」

GS犬や助手を三人も連れて来てかなり気合いが入ったオカルトGメンに、唐巣は本来ならば任せてもいいのだろうと思うのだが唐巣自身も知り合いのGSから頼まれた仕事であり、頼まれた相手のメンツを考えると引くことは難しかった


「タマモ君、いいかね?」

「ええ、一緒に行動するんじゃないなら構わないわ」

予想以上に同業者が多いことから唐巣はタマモに調査を始めるのに支障がないか尋ねるが、離れた場所で勝手にするなら問題はないようで、さっそく横島達も付近の調査を開始する



『この事件記憶にあるわ。 多分相手は強力なネズミの死霊使いだよ』

『ネズミなのね。 わかったわ』

調査を開始した横島達だったが、唐巣が見鬼君を手に動物霊を探してる以外は至って普通である

横島とタマモはまるで散歩のように通り沿いの店を見ながら、事件の犯人である可能性の高いネズミのことを念話で話していく

唐巣は時折すれ違うGSと顔見知りだった場合は挨拶を交わしたりするが、横島とタマモは端から見ると見習いの助手にしか見えないだろう


「この辺りにも動物霊が出たみたいね。 ただ動物霊の痕跡なんてあちこちにあるからもうちょい近寄らないと追跡は難しいわね」

しばらく辺りを歩いて調査をするが、流石のタマモも都会のど真ん中でネズミ一匹探すのは早々簡単ではない


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