真の歴史へ・その四
一方すっかりクラスメートとの距離が空いたままの弓かおりだったが、表面上はともかく内心は苛立ちを募らせていた
取り巻きの友人には二流の人間が傷のなめあいをしていると陰口を叩いていたが、クラスの大半が避けるようになると最早苛立ちを隠せなくなり始めている
初日以降の霊能の授業でおキヌと小鳩があまり目立った活躍をしない事もありおキヌと小鳩を目の敵にしているが、クラスメートの大半が二人を庇う姿勢のために余計にクラスの雰囲気が悪化していた
「弓、なんで呼ばれたか分かるか?」
この日かおりは、放課後に担任の鬼道に呼ばれて職員室に来ている
鬼道はいつも通りかおりに接するがどこか表情が硬い
「特に思い当たりませんが、何の事でしょうか?」
「回りくどいのは好かんから単刀直入に言うな。 横島と花戸の件や、いい加減子供みたいな事は止めたらどうや?」
かおりはいつも通りに鬼道に接していたが、話の内容を聞くと表情を歪める
かおり自身は何も悪い事をしてる自覚はないし、注意されるいわれもないのだ
「弓が頑張ってるのはわかってるけど、世の中は調和も大切なんや。 GSも同じやで。 力があればええ訳やない」
無言のままのかおりに鬼道は淡々と語っていくが、正直言いにくそうな雰囲気ではある
積み重ねて来た努力から来る自信や価値観は早々変わるものではない
鬼道は絶対的にも見える小竜姫の力と優しさで気付けた事だが、自分が同じようにかおりにそれを気付かせるのがいかに難しいかはよく理解していた
「私は何か問題行動でも起こしたか?」
鬼道の言葉にかおりは表向き反発はしないが、内心怒りを感じてるのは明らかである
優等生であるかおりは学校のルールは守ってるし、問題にされる行動をした覚えはないのだ
「みんなと仲良く出来んのか?」
「私が悪いとおっしゃるのでしょうか?」
「誰が悪いとかの問題やない。 横島や花戸や他の者にも同じように言うつもりや」
話はずっと平行線のままだった
かおりとしてはルールを守っているし、現状で自分が何かをする必要性を感じないのだ
そんなかおりに鬼道は同じ表情のまま言い聞かせるのだが、かおりは納得がいかないようである
「一回肩の力を抜いてみろ。 みんな霊能者の前に一人の人間なんや。 弓も高校生活をもっと楽しんでええんやで」
「わかりました。 失礼します」
結局かおりは素直に返事はしたものの、表情は終始変わらぬままだった
教師である鬼道に盾突くつもりはないが、内心では納得などできるはずがない
「ご苦労様です。 鬼道先生」
かおりが去った後疲れたように一息ついた鬼道に、老年の教師が声をかけていた
「正直僕には難しいですわ」
「いや、鬼道先生は間違ってませんよ。 あの子はもっと世間を知る必要がある。 私はあの子のような子を何人も見て来ましたが、大成した子はいないんですよね」
疲れたような鬼道を老年の教師は慰めるように語るが、二人共にかおりの現状を危惧しており将来を心配してるのは同じだった
取り巻きの友人には二流の人間が傷のなめあいをしていると陰口を叩いていたが、クラスの大半が避けるようになると最早苛立ちを隠せなくなり始めている
初日以降の霊能の授業でおキヌと小鳩があまり目立った活躍をしない事もありおキヌと小鳩を目の敵にしているが、クラスメートの大半が二人を庇う姿勢のために余計にクラスの雰囲気が悪化していた
「弓、なんで呼ばれたか分かるか?」
この日かおりは、放課後に担任の鬼道に呼ばれて職員室に来ている
鬼道はいつも通りかおりに接するがどこか表情が硬い
「特に思い当たりませんが、何の事でしょうか?」
「回りくどいのは好かんから単刀直入に言うな。 横島と花戸の件や、いい加減子供みたいな事は止めたらどうや?」
かおりはいつも通りに鬼道に接していたが、話の内容を聞くと表情を歪める
かおり自身は何も悪い事をしてる自覚はないし、注意されるいわれもないのだ
「弓が頑張ってるのはわかってるけど、世の中は調和も大切なんや。 GSも同じやで。 力があればええ訳やない」
無言のままのかおりに鬼道は淡々と語っていくが、正直言いにくそうな雰囲気ではある
積み重ねて来た努力から来る自信や価値観は早々変わるものではない
鬼道は絶対的にも見える小竜姫の力と優しさで気付けた事だが、自分が同じようにかおりにそれを気付かせるのがいかに難しいかはよく理解していた
「私は何か問題行動でも起こしたか?」
鬼道の言葉にかおりは表向き反発はしないが、内心怒りを感じてるのは明らかである
優等生であるかおりは学校のルールは守ってるし、問題にされる行動をした覚えはないのだ
「みんなと仲良く出来んのか?」
「私が悪いとおっしゃるのでしょうか?」
「誰が悪いとかの問題やない。 横島や花戸や他の者にも同じように言うつもりや」
話はずっと平行線のままだった
かおりとしてはルールを守っているし、現状で自分が何かをする必要性を感じないのだ
そんなかおりに鬼道は同じ表情のまま言い聞かせるのだが、かおりは納得がいかないようである
「一回肩の力を抜いてみろ。 みんな霊能者の前に一人の人間なんや。 弓も高校生活をもっと楽しんでええんやで」
「わかりました。 失礼します」
結局かおりは素直に返事はしたものの、表情は終始変わらぬままだった
教師である鬼道に盾突くつもりはないが、内心では納得などできるはずがない
「ご苦労様です。 鬼道先生」
かおりが去った後疲れたように一息ついた鬼道に、老年の教師が声をかけていた
「正直僕には難しいですわ」
「いや、鬼道先生は間違ってませんよ。 あの子はもっと世間を知る必要がある。 私はあの子のような子を何人も見て来ましたが、大成した子はいないんですよね」
疲れたような鬼道を老年の教師は慰めるように語るが、二人共にかおりの現状を危惧しており将来を心配してるのは同じだった