真の歴史へ・その四

その日の夜オカルトGメンの要請に集まったのは、唐巣・ピート・冥子・ドクターカオスとマリアだけだった

西条は関東近郊の有力GSおよそ50人に協力要請をしたが、来たのはこれだけである

未来の時とほぼ同じメンバーだが、横島達以外で違うのはエミが居ない事だろう

これは横島達とは関係なく、ただ単にエミが忙しくて断っただけである

令子がオカルトGメンに行った事もあり、必然的に一流と名高いエミの仕事が増えていたのだった

忙しいエミが令子が居るオカルトGメンに好き好んで協力するほど、この時代の令子とエミの関係はよくない

共同で依頼を受けたのはブラドー島の一件だけであり、GS試験や香港での協力がなかった分だけ二人の関係はよくなく、元々の商売敵として苦々しく思ってたままだったりする


「本日はご協力感謝します。 ではお手元の資料をご覧下さい」

西条は事件の資料を配り説明を始めるが……、やはり冥子とドクターカオスは全く聞いてなかった


「久しぶりね~ 令子ちゃん全然遊んでくれないから、冥子寂しかったわ~」

「私だって好き好んでこんな金にならないことしてる訳じゃないわよ」

「マリア、もうちょっと右じゃ」

冥子は久しぶりに令子に会えたのが嬉しいらしく、引き攣った笑顔の令子に楽しげに話し掛けており西条の話など全く聞いてない

カオスに至っては報酬の話がないうちはやる気がないらしく、未来と同じくマリアにマッサージさせている


(このメンバーで捜査をするのか?)

一方無視されてる西条は、話を全く聞いてもらえない現状に頭を抱えていた

有名どころのたくさんのGS達に協力要請をして集まったのが、やる気のない冥子とカオスな事には落胆するしかない


(そもそも横島君達に断られた時点でこの結果は見えてたんだがな……)

実は西条がGS協会に協力要請をした際に、GS協会は非公式に横島にこの事件に協力するのか確認していたのである

仮に横島が捜査に参加したならば小竜姫も参加する可能性があり、その場合は最低限の人員をGS協会としても用意せざるおえないと判断していたのだ

結果として横島が断り小竜姫もこの事件に介入しないだろうと判断したGS協会は、未来と同じようにGS協会所属のGSに各自協力要請して欲しいと突き放して終わりであった

GS協会上層部では半ば公然の秘密となっている小竜姫が動かないと分かると、誰もオカルトGメンに協力しようなどとは言わなかったのである


(何があったのか知らないが、小竜姫様との関係改善をしないとオカルトGメンは孤立するぞ?)

現状の悪さにため息をはきたくなる西条は、美智恵と小竜姫の微妙な関係を考えると頭が痛くなる思いであった

西条もオカルトGメンとGS協会の不仲は知っているし自分にも責任の一端があるのは自覚してるが、それでも小竜姫を過剰に警戒する美智恵に困っているのも事実なのだ

現状として小竜姫は人として横島事務所に居るため、基本的にはGS協会に口出しも関与もしない

そしてGS協会は小竜姫の正体を知らないことにして、横島や唐巣の妖怪保護や支援を黙認するという暗黙の了解が行われている

その関係は決して悪くはなく、オカルトGメンとGS協会の関係の方が悪いくらいだった


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