真の歴史へ・その四

その結果仕事を取られたGS協会側は、オカルトGメンへの反発が少なくなかった

まるで自分達を下請けのように扱うオカルトGメンに、ほとんどのGSは嫌気がさしてオカルトGメンから流れてくる依頼の引き受け手はどんどん減っている

まあそれでも仕事がない三流のGSが信用獲得や修行名目で引き受けているのでなんとかなっているが、収支そのものは厳しいものであった

テレビやマスメディアでは正義のオカルトGメンと散々宣伝して仕事の実績なども強調しているが、実際の実績はGSが解決したものがほとんどなのだからGS側の反発は当然だろう



そんな現状もあってオカルトGメンとGS協会の共同での仕事は、この時代では今まで一度も行われてない

横島達や美智恵の知る未来でもオカルトGメンとGS協会の協力は上手くいってなく、GS協会は表向きの協力姿勢を示しながらも実際の協力するGSに関してはオカルトGメンが個別のGSに依頼して欲しいと突き放していたのだ

結果未来のように僅か数名の協力しか得られないような事態となっていたのである

確かに未来でオカルトGメンに協力した唐巣やエミ達は一流のGSだったが、実際は彼らがGS協会の空気を気にせずに協力した物好きとも言えた

しかしそんなメンバーだからこそアシュタロス戦では、世界の意志を無視してアシュタロスとの決戦に向かおうとしたのだろう

この時代で何処まで同じことが出来るかは美智恵にも予測は難しいが、歴史通りの協力体制を築いてアシュタロス戦で使える人材を確保する下準備はしておきたかった


(せめて唐巣神父と六道さんとの協力体制は築いておかないと……)

業界に顔が広い唐巣と六道家の一人娘である冥子だけは、美智恵として味方に付けておきたい


(やっぱりGS試験や香港で、小笠原さんと六道さんを巻き込めなかったのは痛いわね)

本来はGS試験や元始風水盤事件において、令子はエミや冥子と協力した実績を作るはずだったのだ

しかしどちらも彼女達を協力させるはずの小竜姫が、史実と全く違う行動をするのだからどうしようもなかった

美智恵としても彼女達を巻き込むことも考慮したが、エミはともかく六道家の一人娘である冥子を巻き込むのは難しかったのである

現状のままだとアシュタロス戦においてエミは協力しないだろうし、冥子ですら親が許さないかもしれない

実際に未来と同じように全権委任という強行手段を取るかは分からないが、美智恵としては同じ手段の下準備は進めていたのである


(何人集まるかしらね)

今回は八房事件を口実にGS協会を通して個別に依頼をすることになったのだが、西条がその手の仕事に向かないのは美智恵も理解していた

エリート風を吹かせて頭を下げる訳でもなく協力要請という形を取るオカルトGメンの西条に、協力するGSは少ないだろう

最悪は唐巣一人なんてこともありえる

せめて横島達を除いた未来のメンバーは集まって欲しいと、美智恵は祈らざるおえなかった

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