真の歴史へ・その三
それから数日後、南部グループ心霊兵器研究所では緊急事態を知らせる警報が鳴り響いていた
「試験体1018が暴走して外部に流出したぞ!」
「警備班は至急追跡しろ! 殺しても構わん! 何としても外部流出を阻止しろ」
研究所では研究員と武装した兵士が慌ただしく走り回り、流出した試験体を武装した兵士が追跡していくが、追跡班はすぐさま全滅して敷地外部に流出してしまう
「クッ……、我々の証拠となるものはなかっただろうな!」
「はい、もちろんです。 現在試験体捕獲部隊を急遽呼び寄せておりますので時期に捕獲出来るかと……」
「捕獲はいい。 試験体1018は破棄する。 今後は情報収集するチームを編成して、試験体の実戦データを集めろ!!」
試験体の暴走による流出に茂流田は、真っ先に情報の流出を食い止めるべく指示を出していく
幸いにして試験体は密かに紛争地帯などへの実戦テストを控えていたために、証拠になりそうな物は全くなかった
そのため外部流出してしまった現状で危険を犯して捕獲するよりは、廃棄してその後の情報を得る事を選択していたのだ
それから数時間後、関西近郊のある山里で刀傷と思われる辻斬り事件が起きる事になる
そう……、これがこの世界の八房事件の始まりだった
「とうとう現れたか。 しかし八房を持ってるのは誰だ?」
事件発覚から数時間後に警察の捜査と同時期に調査を始めた横島達だが、相手の正体も目的もわからない為に慎重になっていた
犯人は山里で犯行後、山の中を移動してるらしく警察の捜査にも見つかってない
横島達はタマモの式神やルシオラの兵鬼やヒャクメの心眼で探して真っ先に見つけたが、全く知らない相手だった
「一応人狼族みたいだけど……、なんか様子が変ね」
八房を持つ者は見た目は20代の若い男性なのだが、尻尾と妖力を感じる事から人狼だと判断している
同じ妖怪のタマモが気にしているのは、迷彩服を着た服装とその目に理性が見えない事だった
まるで理性を知らぬ化け物のように、無差別に周囲の動物や妖怪を狩り威嚇しているのだ
その様子は異様だとしか言いようがない
「なんか変だな。 盗まれたはずの八房を持った見知らぬが人狼現れるなんて……」
八房が見つかったと聞き少しホッとしていた横島だが、何か言葉に出来ない不安を感じてしまう
それが霊感なのは分かるが、具体的な理由は横島にはわからなかった
「誰かに変な薬でも使われたのかしら? それとも八房の影響で理性が消えた?」
「少なくとも理性が消えるほどの力は感じませんが。 ですが変ですね。 あれでは人間に見つかるのも時間の問題ですよ」
知性や理性のカケラも見えない人狼にルシオラと小竜姫もまた原因を考えていくが、やはりわからないままである
「さっさと捕まえるつもりだったんだけど……どうする?」
「ダメね。 不確定要素が気になるわ。 もしかしたら罠かも」
横島達は八房を悪用する者が現れたら即座に捕らえるつもりだったのだが、原因が分からないまま動くのは危険だとタマモは判断していた
もしかしたら自分達への何かしらの罠の可能性がある事が気になっている
それは金毛白面九尾の長い歴史から来る直感の一種かもしれない
何か違和感を感じたタマモに躊躇いが生まれている
前世の経験から言ってもこんな時はろくな結果にならなかったのだ
「試験体1018が暴走して外部に流出したぞ!」
「警備班は至急追跡しろ! 殺しても構わん! 何としても外部流出を阻止しろ」
研究所では研究員と武装した兵士が慌ただしく走り回り、流出した試験体を武装した兵士が追跡していくが、追跡班はすぐさま全滅して敷地外部に流出してしまう
「クッ……、我々の証拠となるものはなかっただろうな!」
「はい、もちろんです。 現在試験体捕獲部隊を急遽呼び寄せておりますので時期に捕獲出来るかと……」
「捕獲はいい。 試験体1018は破棄する。 今後は情報収集するチームを編成して、試験体の実戦データを集めろ!!」
試験体の暴走による流出に茂流田は、真っ先に情報の流出を食い止めるべく指示を出していく
幸いにして試験体は密かに紛争地帯などへの実戦テストを控えていたために、証拠になりそうな物は全くなかった
そのため外部流出してしまった現状で危険を犯して捕獲するよりは、廃棄してその後の情報を得る事を選択していたのだ
それから数時間後、関西近郊のある山里で刀傷と思われる辻斬り事件が起きる事になる
そう……、これがこの世界の八房事件の始まりだった
「とうとう現れたか。 しかし八房を持ってるのは誰だ?」
事件発覚から数時間後に警察の捜査と同時期に調査を始めた横島達だが、相手の正体も目的もわからない為に慎重になっていた
犯人は山里で犯行後、山の中を移動してるらしく警察の捜査にも見つかってない
横島達はタマモの式神やルシオラの兵鬼やヒャクメの心眼で探して真っ先に見つけたが、全く知らない相手だった
「一応人狼族みたいだけど……、なんか様子が変ね」
八房を持つ者は見た目は20代の若い男性なのだが、尻尾と妖力を感じる事から人狼だと判断している
同じ妖怪のタマモが気にしているのは、迷彩服を着た服装とその目に理性が見えない事だった
まるで理性を知らぬ化け物のように、無差別に周囲の動物や妖怪を狩り威嚇しているのだ
その様子は異様だとしか言いようがない
「なんか変だな。 盗まれたはずの八房を持った見知らぬが人狼現れるなんて……」
八房が見つかったと聞き少しホッとしていた横島だが、何か言葉に出来ない不安を感じてしまう
それが霊感なのは分かるが、具体的な理由は横島にはわからなかった
「誰かに変な薬でも使われたのかしら? それとも八房の影響で理性が消えた?」
「少なくとも理性が消えるほどの力は感じませんが。 ですが変ですね。 あれでは人間に見つかるのも時間の問題ですよ」
知性や理性のカケラも見えない人狼にルシオラと小竜姫もまた原因を考えていくが、やはりわからないままである
「さっさと捕まえるつもりだったんだけど……どうする?」
「ダメね。 不確定要素が気になるわ。 もしかしたら罠かも」
横島達は八房を悪用する者が現れたら即座に捕らえるつもりだったのだが、原因が分からないまま動くのは危険だとタマモは判断していた
もしかしたら自分達への何かしらの罠の可能性がある事が気になっている
それは金毛白面九尾の長い歴史から来る直感の一種かもしれない
何か違和感を感じたタマモに躊躇いが生まれている
前世の経験から言ってもこんな時はろくな結果にならなかったのだ