真の歴史へ・その三

除霊の次の日から、かおりの態度は更に厳しくなっていた

今までは遠巻きに睨む程度だったのに、あれ以来露骨に見下したり嫌味を言うようになったのだ

そんなかおりとクラスメート達の距離は更に開いていく

元々中立だったクラスメート達が、あまりに露骨なかおりに対し否定的になってきたのである

そんなクラスに困惑を深めていたのは、他ならぬ愛子・おキヌ・小鳩の三人だ

元々おキヌと小鳩にかおりと争うつもりなど全くなく、特におキヌはかおりと仲良くなろうと積極的に話し掛けるが逆に嫌味を言われる始末だった

小鳩は過去の貧乏神の影響で友達が出来なかった経験から、我慢するばかりで和解には消極的だし

愛子は和解に導こうと考えてはいるが、周りのクラスメートが逆に対立を煽るような始末でどうしようもない

最早クラス完全には二分されて、かおりと数名の取り巻きが孤立する結果になっている



「こいつはどうしたもんかな……」

あの日かおりがおキヌ達を睨んでいたのに気付いていた横島達は、ヒャクメの千里眼などで状況を調べたが予想以上の状況の悪さに困っていた


「見守るしかありませんよ。 私達が手を出す問題ではありません」

横島が困ったように腕を組む傍らで、小竜姫は冷静に見守るしかないと告げる

かおりの露骨態度は小竜姫とて気持ちのいいものではないが、おキヌ達ならば自分達で解決出来る範囲だと思うし解決しないといけないと考えていた


「典型的なよく居るタイプの人間だものね。 あの程度の世間知らずの小物なんて腐るほど居るわよ」

「それは少しいい過ぎじゃないかしら? あの年にしては頑張ってると思うわよ。 まあ威張れるほどの実力じゃないのは確かだけど……」

千里眼で見るかおりの姿に酷評するのはタマモである

元々好き嫌いがはっきりしているだけに、嫌いな相手には遠慮がない

そんなタマモにルシオラは苦笑いを浮かべて言い過ぎだと言うが、根本的には同意している

どんな環境で育ったかは知らないが、あの程度の力でプライドを持つ事がルシオラにも理解出来なかった


「霊能者としては致命的じゃのう。 あれでは長生き出来んぞ」

横島達四人の興味がおキヌ達の今後に集まる中、暇なのか事情を聞いていた老師はかおりを哀れんでいる

中途半端な力とプライドがどれだけ危険かは、長い年月を生きた老師が一番理解してるのだろう

老師から見れば、かおりはあまりに幼く哀れに見えるのは当然かもしれない


「あの人と和解するのは大変なのねー 一番早いのは実力で勝つ事だけど……」

「霊子銃を使えば勝ち目はありますが……、二人は戦う事は選ばないでしょう」

ずっと横島達にかおりの姿を見せていたヒャクメは和解は難しいと言う

頑固なまでの価値観があるのが、ヒャクメには見えているのだ

そんなヒャクメとしては実力を示さないと和解も話し合いも不可能だと判断したが、小竜姫は二人の性格上戦う選択肢はないと断言する

それに現状では霊子銃を使っても、戦いの経験がない二人では勝てるかわからない

霊子銃自体は使用者が威力を調節出来るため、一撃でかおりを倒せる威力で当てれば勝てるのだが、かわされて攻撃をされると今の二人では対応が難しいと小竜姫は見ていたのだ


77/100ページ
スキ