真の歴史へ・その三

そしてその日の授業も終わりクラスメートの友人数人と帰宅する愛子やおキヌ達だが、学校のすぐ近くに悪霊が現れた事で多くの霊能科の生徒がやじ馬に混じって除霊現場を見ていた

六道女学院の場所だが、周りには高級住宅街などもある比較的静かな場所である

そんな環境の中にある一件の空き家に少し前から悪霊が集まり出して、突然活性化して暴れてるらしい


「あれおキヌちゃんじゃない?」

見物人のやじ馬の後ろの方で見ていた愛子達の前でオカルトGメンの車が止まり、制服姿の令子と助手が二人の三名が車から降りて来る


「こんにちわ、美神さん」

「あら、その制服は…… そっか~、六道女学院に通ってるのね」

久しぶりに会ったおキヌの元気そうな姿に嬉しそうな令子は、高校に通い出したことに少し驚いていた


「はい、お義母さんの勧めで早い方がいいからって」

「へ~、横島君のお母さんってちょっと興味あるわね」

親しげに会話する令子とおキヌに、周りの六道女学院の生徒達は驚き唖然としている

令子という一流GSと親しげに話す転校生に、霊能科の生徒達の視線が厳しくなっていく


「あら、皆さん今帰りですか?」

「はい、横島さん達はお仕事ですか?」

令子とは別の方向から今度はスーツ姿の横島と小竜姫が現れた事で、おキヌと小鳩はさらに注目を集めてしまう


「ああ、空き家の除霊なんだけど……」

「……横島君達もなの? 依頼が被ったのかしら?」

後から現れた横島と小竜姫の姿に令子は若干複雑そうな表情を浮かべるが、すぐに切り替えて仕事の顔になる

令子は特に中世以来会う小竜姫に、あの件を聞いていいのか少し考えたらしい

結局令子はあの件を言わぬまま仕事の話をするが、どうやら依頼が被ったようだった

横島達の依頼主は不動産屋であり、オカルトGメンには周辺の町内会などから除霊依頼が入ったようである

この件はオカルトGメンが関わるほどの危険度や緊急性はないが、周辺に政界の実力者の関係者が居るらしく直接除霊に乗り出したのだった

こう言った二重依頼はあまりある事ではないが、所有者不明の除霊などではたまにあることである

今回は現在空き家を管理してる不動産屋の動きが鈍く町内会がオカルトGメンに頼んだのだが、時期を同じくして不動産屋も横島事務所に依頼したようだった



「ややこしい事になったわね」

予期せぬ二重依頼に令子と横島の表情はともに冴えない

二重依頼などの場合は当のGS達の合う合わないも関係あるが、一番難しいのは依頼人のメンツである

今回は政治家絡みの依頼なためオカルトGメンとしては民間GSに先を越される訳にいかないし、不動産屋としても自分で管理する物件の除霊をオカルトGメンにされては後々の信用問題に関わるのだ

場所が高級住宅街なため、物件の管理も出来ないとの噂が出れば今後の商売に関わるのだった


『参ったな。 オカルトGメンには関わりたくないんだが』

『依頼人に連絡して依頼人同士で調整してもらうしかありませんね』

予想外の場所でオカルトGメンと会った横島と小竜姫は少しため息をはくが、結局双方の依頼人に連絡して調整をしてもらう事になる

依頼人からの連絡が来るまで横島達も令子達も現場で待機なのだが、六道女学院の生徒に囲まれたその場所は非常に居心地が悪い


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