真の歴史へ・その三

その後は自己紹介もそこそこに授業を受けるおキヌと小鳩だが、授業はなんとかついて行けるレベルだった

おキヌは生き返って以来ずっと愛子やルシオラ達に勉強を教わってたし、小鳩は元々少しの間は公立高校に通っていただけに頭が悪くはない

休み時間になると二人はクラスメートに囲まれていろいろ聞かれたりするが、二人は無難に対応して楽しそうだった

おキヌは人生で始めての学校だし、小鳩は貧乏神の関係で友達すら出来ない過去があるだけに、二人共に純粋に学校が楽しく感じるようである


そして四時間目になりいよいよ霊能の授業になったおキヌ達は、霊能科専用の体育館に入っていた

この霊能科専用体育館は全体が霊的結界で包まれており、中の霊力が外に漏れない仕様と体育館を壊さないように建物を守る結界が施されている

体育館内には物理攻撃無効化の結界なども常備しており、日本でも有数の室内型の霊能施設であった


「霊能の授業って大丈夫かな」

「私達、霊力のコントロールしか出来ないんですよね」

始めての霊能の授業におキヌと小鳩は少し不安そうである

今までは常に小竜姫達の誰かが必ず着いて教えていただけに、自分達だけで霊力を使う不安も少しあるのだ

加えて二人は基礎中の基礎である霊力コントロールしか教わってない

攻撃手段として学校に来る前にルシオラより霊子銃が与えられたが、これは授業での使用は禁止されている

緊急時は遠慮する必要などないのだが、機密保持のためと授業で霊子銃を使えば二人の修業にならないことが理由だった

ちなみに以前渡された文珠もお守りとして常時持ち歩いているため、実際はかなりの攻撃力を有しているが本人達はあまり気付いてなかったりする

一応横島達が与えるアイテムが特別なのは理解してるが、他の一般アイテムとの違いや貴重性はあまり理解してない

まあ横島達自体もあまり大袈裟に言わないのも原因であるのだが……


「今日は確か霊力の放出の授業だから大丈夫よ。 二人とも放出は十分出来てたしね」

不安そうな二人に愛子が授業内容を説明するが、それでも二人は授業についていけるか不安だった

クラスメートの実力や自分達の実力を二人はイマイチ理解してない


「みんな凄い人なんでしょう? 私大丈夫かなぁ……」

「雪之丞君やピート君を基準に考えない方がいいわよ。 私も詳しくないけどここの人達あそこまで強くないから」

愛子もそうだが、おキヌもまた基準は雪之丞とピートだった

横島は別格にしても、雪之丞とピートは普通のGS見習いだと考えているのである


「でも、美神さんやエミさんも凄かったですよ」

「私その二人に会った事ないけど、日本でトップのGSだって話よ。 多分おキヌちゃんの周りって凄い人ばっかりなのよ」

自分の知り合いのGSを基準に考えるおキヌに、愛子は微妙に普通じゃないと告げる

愛子とてそれほど詳しい訳ではないが、二人が周りの生徒に比べてそれほど劣っているとは思えないのだ


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