真の歴史へ・その三

一方おキヌと小鳩を受け入れる側の六道女学院では、理事長である六道冥菜と学校の教師陣が集まり入念な打ち合わせが行われている


「彼女達は実質的に小竜姫様のお弟子さんだから~、その辺りをよく理解してね~ 小竜姫様の逆鱗に触れたらどうなるかわかるでしょ~?」

本来ただの転入生にはそこまで打ち合わせなどしないのだが、なんと言っても小竜姫が関わると六道女学院側も気を使わざるおえなかった

今回のおキヌと小鳩の転入に関して小竜姫は何も動いてないが、以前鬼道政樹の父親の件で小竜姫の怒りを目の前で見た冥菜は万全の体制を敷く必要を感じていたのだ


「愛子君の例からするとあまり心配ないように思いますが?」

「そうね~、二人はいい子みたいよ~ でも良からぬ事を考える人達が二人に近寄らないように注意はしてね~」

初老に近い教師が以前から六道女学院に通う愛子を例に出してさしたる問題はないのではと告げるが、冥菜の心配はおキヌや小鳩ではなく六道女学院に通う他の生徒やその親族などである

小竜姫の存在は日本GS協会上層部以外はあまり知られてなく、無論GS協会も建前上は知らない事になっている

しかし業界の事情に詳しい者なら知っていても不思議ではないのだから、おキヌや小鳩に妙なちょっかいを出す者が現れないか警戒する必要があったのだ


ちなみに愛子の現状についてだが、霊能科の生徒には転入してすぐに受け入れられており全く問題が起きてない

加えて愛子がたまに語る学校の妖怪の話や昔の学校の話は、面白く生徒達の評判も上々であった

六道女学院も妖怪などについては勉強するが、それは危険がある妖怪などに偏りがちである

しかし愛子の知る学校の妖怪達はみんな大人しく害もないため、六道女学院の生徒達でも知らない者が多い

その結果、人が知らない妖怪の生態や裏側に生徒や教師陣も驚き愛子の高い評価に繋がっている

一部の教師には愛子が卒業した後には霊能科の教師として迎え入れるべきだと考える教師もおり、愛子はすっかり人に馴染んでいた


「クラスは何処にするのですか?」

「鬼道君のとこにするわ~、鬼道君は小竜姫様と面識あるし愛子ちゃんも彼のクラスだし~」

そのまま細かく打ち合わせしていく中でおキヌと小鳩のクラスは、鬼道の担任するクラスに決まる

この事に関しては、二人の担任は小竜姫と関わる機会がある可能性が高いために小竜姫をよく知る人物が好ましい

下手な事をして小竜姫の不評を買いたくない六道女学院側としては、小竜姫が以前更正を促した鬼道が担任として適任だった

それに鬼道は現在六道家の保護下に入っており、他の教師よりは冥菜の目が行き届きやすい

不測の事態を避ける意味でも一番の適任だと言えた


ちなみに鬼道の父親だが、現在は刑務所に服役中である

小竜姫の逆鱗に触れた鬼道父は、六道家に捕まった後でいろいろ調べられ違法行為が次々に発覚していたのだ

その内容はあまりに酷く、GS協会は鬼道父を永久追放して警察に突き出して終わっている

結果GS協会に睨まれる立場になった鬼道政樹は、六道家によって保護され六道女学院の教師として受け入れられていた

父親のせいで肩身の狭い鬼道政樹だが式神使いとしての能力は高いし、霊能の基礎や技術はかなりのものなのだ

それを失うのが惜しいと考えた冥菜に拾われた形になっている


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