真の歴史へ・その三

「あの……、こんなに買って頂いていいのですか?」

買い物が進む中で小鳩は、次々に洋服やアクセサリーを買っていく百合子に若干困った表情になっている

おキヌは義理とはいえ娘なのでいいかもしれないが、他人の小鳩としてはここまでいろいろ買って貰うと悪いと感じてしまう

雇用主の母親が何故自分に服やアクセサリーを買ってくれるのか、疑問も感じるようだ


「お金の心配なんてしなくていいのよ。 忠夫が世話になってるしね」

ニコニコと楽しげに三人の服を選ぶ百合子はそう言って買い物を続けていく

しかし世話になるという意味では、一般社会からは考えられないような高待遇で雇われてる小鳩としては余計に困ってしまう


「どっちかと言うと私達が世話になってるんだけどね」

小鳩と同じ疑問を感じていたらしい愛子も苦笑いを浮かべているが、百合子は構わずに買い物を続けている


「三人とも女の子なんだから、もっとオシャレとかしないとダメよ? 忠夫達も結構常識とズレてるのよね~」

別に日々の横島達も生活を楽しんでない訳ではないのだが、人間とズレてると言えばその通りだった

ファッションなども最低限は気をつけているが、それほどこだわる訳ではない

ルシオラ達三人は元々何を着ても似合うのでまた違うのかもしれないが、基本的にプランド物などは全く興味を持ってなかったのだ

百合子も別に贅沢をさせたい訳ではないが、最低限の高校生らしい価値観は教えないと学校に入ってから困るだろうと考えている

ブランド物の財布くらいは誰でも持っているし、服もそれなりに必要なのだ

基本的に横島に対しては厳しい百合子も、人様の子供には随分と甘いようである

横島の関係者が横島のせいで恥をかく事がないようにと考えてるのだろうが、結局は横島とその周辺を心配してるだけだろう


(横島さんとベクトルは違うけど、凄い人ですね)

百合子もまた常識を逸脱した存在ではと小鳩は思う

方向性はまるで違うが、何か得体の知れない凄みを感じているようだ


「六道女学院って金持ちが集まるから大変でしょう? 忠夫ももっと考えてやればいいのに……」

「私は妖怪だし霊能科はそうでもないですよ」

百合子が危惧しているのは、基本的に六道女学院は金持ちのお嬢様学校なのが原因である

友達を作るにもそれなりにしないと、馴染めないのではと心配していた


最も愛子が言うように霊能科には金持ち以外も結構いる

両親が霊能者でない場合などでGSを目指すなら、六道女学院の霊能科が一番安全で確かなのだ

無論霊能の家系のエリートも多いが、普通科に比べればまだマシだった


「まあ入学祝いだと思ってくれればいいわよ。 若い子が遠慮するんじゃないの」

いろいろ話ながら買い物を続けるが、結局三人は百合子に押される形でたくさん買って貰う事になる



「六道女学院って金がかかるな~」

一方横島は六道女学院の編入手続きの書類を見ているが、六道女学院にかかるお金は予想以上に高かった

愛子の時は一部特例として一般の授業料のみだったのでそれほどではないが、小鳩とおキヌの場合はかなりの出費になる

私立ゆえに寄付金もあるし、霊能系の授業料はかなり高いのだ

まあ六道女学院の施設やら霊能アイテムはどれも高価な物なので高くて当然だし、実際は六道家系列の霊能アイテムは格安で提供されてるので比べれば安いのだが横島から見れば高いと感じるようだ


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