真の歴史へ・その三

さて中世から帰った横島達だが、すでに日常生活に戻っていた


「二人共よく似合うわ」

おキヌと小鳩を前にして、腕組みして満足げに頷いているのは愛子である

彼女達は今日、百合子と一緒に六道女学院編入の為の買い物に来ていた

おキヌの勉強も一段落着いた事から、横島は小鳩とおキヌを六道女学院霊能科に編入させる事にしたのである

本当は横島達はもう少し時間をかけてから学校に通わせようと考えていたが、異界を通してナルニアと日本を行き来している百合子が早い時期に高校に通う事をおキヌと小鳩に進めたためであった

おキヌと小鳩が将来GSになるか決めてないが、GSになるならないに関わらず人間社会では学歴が必要である

周りより遅れるのはおキヌ達にとってマイナスになりかねない事から、おキヌの学力が一段落した時点での六道女学院編入を行ったのだ

学校については普通の高校や六道女学院普通科も考慮に入れていたが、最終的にはおキヌと小鳩が霊能科を選んでいた

六道女学院の場合は系列に六道大学もあり進学に有利な事や、六道女学院霊能科卒業だとGS以外でもオカルト系の会社への就職がかなり安定しているのがポイントである


「本当によく似合うわね~ 忠夫も高校に入ればよかったのに……」

二人の制服や体操着などを買っていく百合子は、楽しそうにしながらも横島が高校に入らなかった事を軽く愚痴っていた

GSとして自立したし一応納得はしているが、高校に入り普通に勉強させたり友達作ったりさせたかったようだ


「そういえば横島さんは中学を卒業してGSになったんでしたね」

「実力があるのも分かってるしルシオラさん達が居るから心配はしてないけど、高校くらい出てもいいと私は思ったのよ」

小鳩は以前に横島が中卒でGSになったと聞いたと聞いた事を思い出すが、百合子は少し微妙な表情で意見の違いがあった事を漏らす


(未来とか関係あるんだろうな……)

百合子の話におキヌは、横島が未来から来た事や何か目的があり動いてる事を知っいるためそれが原因だと思うのだが

母親の百合子がその辺りの事情を、どこまで知るのか分からないので口には出さなかった


「まあ、馬鹿息子の事はいいわ。 二人の買い物を済ませるましょ。 次は教科書だね」

愛子達が何と言えばいいかわからないような表情をしている事で、百合子は話を終わらせて次の買い物に向かう

その後も四人は高校で必要な物を買い、ついでに愛子やおキヌ達の洋服やバッグなどの女性らしい物も買っていく事になる

妖怪の愛子は元より最近まで幽霊だったおキヌと最近まで貧乏だった小鳩は、日常生活を営むのに問題がない程度しか物がなかったのだ

別に服が足りないとかではないが、元々三人がオシャレを楽しむような性格でないために服やアクセサリーが少なかったのである

その辺りは元々タマモが三人に教えていたが、愛子もおキヌも小鳩もあまり積極的に買い物などしないままだった

妖怪である愛子の価値観では必要以上に物を買う事はしないのが普通であり、おキヌは生まれた時代の価値観が残る為あまりお金を使わないし、小鳩もまた貧乏時代の経験から無駄使いを好まないのだ

まあおキヌと小鳩は現状でも見習いGSとして一般社会ではエリートと呼べるほどの収入があるが、ほとんど貯蓄に回されている

愛子に関しても事務員扱いで収入はあるのだが、こちらもほとんど使い道がなく貯蓄されていた

しかし今回は学校に通う事もあり友達付き合いなどに必要だと判断した百合子が、愛子も含めた三人にいろいろ買い与えていたのであった


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