真の歴史へ・その三
横島達は決断を迫られていた
鬼天号からの通信で西条と令子の状況も聞いており、このままではカオスの作戦が失敗する可能性が高いのだ
「ヨコシマ、ヌルを逃がしたら大変な事になるわよ。 少なくとも新たな平行世界は生まれるわ」
悩む横島にルシオラはヌルの危険性を語り始める
ヌルの頭脳は厄介でしかないし、それに慎重さが足りないヌルの性格もルシオラは危惧していた
仮にこのまま放置すればヌルは何をするかわからない
まあ大まかな歴史は変わらないかもしれないが、細かい事が次々に変わって行けば別の未来が待っているのは明らかである
「仕方ないか……、介入するぞ。 あっちは小竜姫とタマモにも任せる」
これが現代ならば横島は別の選択をしたかもしれない
しかし横島達はこの時代から見ればよそ者であり、この時代のゆく末を見る事が出来ないのだ
本来ここで倒されるはずのヌルを野放しにする事は、危険性を考えると出来なかった
「仕方ない。 一か八か地獄炉を止める。 マリア、姫を連れて先に脱出しろ」
同じ頃もう一人の決断を迫られていたカオスは、マリアとマリア姫を先に脱出させて地獄炉を止める事を決断する
「カオス様!?」
「ミカミ達のところに行き、あの二人も連れて脱出するのだ。 ヌルには私が地獄炉で待っていると伝えればいい」
決断に驚くマリア姫に、カオスは自分がヌルと一対一で対決すると言う
生と死の狭間で生きて来たカオスなだけに、その決断には確固たる意思が見える
「しかし、カオス様だけを残して行く訳には……」
全て自分が責任を持つと告げるカオスにマリア姫は納得しない
元々ヌルの問題はカオスには無関係で、あんな危険人物を保護した領主にあるのだ
カオス一人が責任を持つのをマリア姫が納得するはずがなかった
「盛り上がってるとこ悪いけど、ちょっと俺達の話を聞いてくれないか?」
その時突然見知らぬ声が聞こえた事で、カオスは顔色を変えて辺りを警戒する
付近を見渡すが全く人の気配がしないだけに、カオスの危機感はより高まっていく
「横島……さん?」
最初に反応したのはマリアだった
突然聞こえて来た声はマリアのデータにある人だったのだから
「久しぶりだな、マリア」
警戒する前で空間が揺らぎ姿を現した横島達に、カオスは瞬時に銃を突き付ける
「横島さん・何故この時代に?」
あまり表情が変わらないマリアが驚いてるように見えるのだから、よほど驚いてるのだろう
警戒するカオスと言葉も出ないほど驚きを隠せないマリア姫の前で、マリアが横島達に歩み寄る
「悪いけど詳しくは話せないんだ。 ただマリアとカオスの敵に回る訳じゃない。 信じてくれないか?」
「イエス・マリア、横島さんを信じます」
少し困ったように何も話さずに信じてほしいと告げる横島に、マリアはアッサリと信じると答えた
これはマリアが横島を信じていると言うよりは、未来のカオスの指示が原因である
横島達とカオスはあまり交流がなく、ブラドー島の時以来たまに合うくらいだった
しかしカオスはブラドー島の事件で、小竜姫の正体やルシオラとタマモが人外なのも知っていたのだ
いかにルシオラ達が力を隠しているとはいえ、ブラドー島の戦闘を見ていたマリアは騙せなかったのである
あの事件のあと、あまり他人の事情などに興味がなかったカオスが、万が一自分に何かあれば横島達を頼るようにマリアに告げていたのだ
その真意は不明だし当のカオスもすでに忘れてるかもしれないが、マリアはその命令を守っただけである
鬼天号からの通信で西条と令子の状況も聞いており、このままではカオスの作戦が失敗する可能性が高いのだ
「ヨコシマ、ヌルを逃がしたら大変な事になるわよ。 少なくとも新たな平行世界は生まれるわ」
悩む横島にルシオラはヌルの危険性を語り始める
ヌルの頭脳は厄介でしかないし、それに慎重さが足りないヌルの性格もルシオラは危惧していた
仮にこのまま放置すればヌルは何をするかわからない
まあ大まかな歴史は変わらないかもしれないが、細かい事が次々に変わって行けば別の未来が待っているのは明らかである
「仕方ないか……、介入するぞ。 あっちは小竜姫とタマモにも任せる」
これが現代ならば横島は別の選択をしたかもしれない
しかし横島達はこの時代から見ればよそ者であり、この時代のゆく末を見る事が出来ないのだ
本来ここで倒されるはずのヌルを野放しにする事は、危険性を考えると出来なかった
「仕方ない。 一か八か地獄炉を止める。 マリア、姫を連れて先に脱出しろ」
同じ頃もう一人の決断を迫られていたカオスは、マリアとマリア姫を先に脱出させて地獄炉を止める事を決断する
「カオス様!?」
「ミカミ達のところに行き、あの二人も連れて脱出するのだ。 ヌルには私が地獄炉で待っていると伝えればいい」
決断に驚くマリア姫に、カオスは自分がヌルと一対一で対決すると言う
生と死の狭間で生きて来たカオスなだけに、その決断には確固たる意思が見える
「しかし、カオス様だけを残して行く訳には……」
全て自分が責任を持つと告げるカオスにマリア姫は納得しない
元々ヌルの問題はカオスには無関係で、あんな危険人物を保護した領主にあるのだ
カオス一人が責任を持つのをマリア姫が納得するはずがなかった
「盛り上がってるとこ悪いけど、ちょっと俺達の話を聞いてくれないか?」
その時突然見知らぬ声が聞こえた事で、カオスは顔色を変えて辺りを警戒する
付近を見渡すが全く人の気配がしないだけに、カオスの危機感はより高まっていく
「横島……さん?」
最初に反応したのはマリアだった
突然聞こえて来た声はマリアのデータにある人だったのだから
「久しぶりだな、マリア」
警戒する前で空間が揺らぎ姿を現した横島達に、カオスは瞬時に銃を突き付ける
「横島さん・何故この時代に?」
あまり表情が変わらないマリアが驚いてるように見えるのだから、よほど驚いてるのだろう
警戒するカオスと言葉も出ないほど驚きを隠せないマリア姫の前で、マリアが横島達に歩み寄る
「悪いけど詳しくは話せないんだ。 ただマリアとカオスの敵に回る訳じゃない。 信じてくれないか?」
「イエス・マリア、横島さんを信じます」
少し困ったように何も話さずに信じてほしいと告げる横島に、マリアはアッサリと信じると答えた
これはマリアが横島を信じていると言うよりは、未来のカオスの指示が原因である
横島達とカオスはあまり交流がなく、ブラドー島の時以来たまに合うくらいだった
しかしカオスはブラドー島の事件で、小竜姫の正体やルシオラとタマモが人外なのも知っていたのだ
いかにルシオラ達が力を隠しているとはいえ、ブラドー島の戦闘を見ていたマリアは騙せなかったのである
あの事件のあと、あまり他人の事情などに興味がなかったカオスが、万が一自分に何かあれば横島達を頼るようにマリアに告げていたのだ
その真意は不明だし当のカオスもすでに忘れてるかもしれないが、マリアはその命令を守っただけである