真の歴史へ・その三

「なるほど…… カオスの予想した通りの展開になるのね」

ザコソルジャーが近寄って来る中、マリア姫はようやく顔を上げてニヤリと意味深な笑みを浮かべていた


「仕方ない。 行くぞ令子ちゃん」

「ええ、西条さん!」

マリア姫の様子に一瞬苦笑いを浮かべたカオスだが、次の瞬間銃を抜き銀の銃弾をフルオートで発砲する

そして同時にマリア姫は破魔札を周りのザコソルジャーにたたき付けていた


「なっ……!?」

とっさに結界を張り銃弾を防いだヌルだが、予期せぬ事態にさすがに驚きが隠せない

銀の銃弾とカオス製破魔札の爆発によりザコソルジャーが壊滅する中、ヌルとゲソバルスキーはカオスとマリア姫を苦々しく睨む


「初めてお目にかかるとこ悪いが、故あって貴方の野望を阻止させてもらう」

「あんた魔族ね? 人に化けるならもっと上手く化けなさい。 私の知り合いより随分下手よ」

ヌルに銃を向けたままのカオスが額に手を当てると変化の札が現れ、カオスの姿が西条に変わる

同じくマリア姫の姿は令子に変わり二人はしてやったりと言った表情だった


「クッ……、変化の札だと!! カオスめ! あんな物まで!」

苦々しく西条と令子を睨むヌルだが、次の瞬間には外から機銃の音とザコソルジャーの混乱する声がする


「ヌル様! カオスが空から責めて来ました!!」

西条達の行動に合わせたような形で城の外にはカオスフライヤーが現れ、警戒していたザコソルジャーを掃討していたのだ

次から次へと好き勝手する西条達やカオスに、ヌルは怒りの表情でザコソルジャーに八つ当たりする


「調子に乗るな!!」

混乱するザコソルジャーやゲソバルスキーは、すでに西条と令子により倒されていた

好き勝手暴れるカオスや西条達にヌルは怒りの表情で本来の姿に戻り、力を解放していく



さて少し時が戻って西条と令子が正体を曝した時、カオスは城の近くに隠れてリモコンでカオスフライヤーを操っていた


「さて我々も行くぞ」

内と外からの攻撃で城が混乱する中、本物のカオスとマリア姫とマリアは城の裏口から密かに侵入する

カオスフライヤーは外のザコソルジャーを掃討した後は上空を旋回するように指示を出していた

ヌル本人が外に出ればカオスが乗ってないのがバレるかもしれないが、ヌルの足止めを西条と令子がしてる間はバレないだろう

カオスの作戦は横島の知る過去と大差ないが、カオスフライヤーが無事な事で作戦に厚みが増している

まるでカオスが外でヌルを警戒しているように欺いておいて、本物のカオスはヌルのエネルギー原を止めに場内を進んでいた



「始まったな」

城の内外から聞こえる爆発音に横島はカオスの作戦が始まった事を確信する


「ダメね…… 使える資料がないわ」

そして横島達の方だが有効な技術などは一切見つかっておらずに、ゴミのような部屋を漁っていた

ルシオラが一番ほしいのは技術そのものよりも実地テストのデータなのだが、正直ろくな物がない


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