真の歴史へ・その三

令子達がそんな事になってる間も、横島達は少し暇そうにしながら監視を続けている

正直令子や西条が簡単に死ぬ訳が無く二人の監視はそれほど厳重でなくて構わないのだが、問題は今回の敵であるプロフェッサーヌルだった

現代のアシュタロス一派の変化の一因として最も可能性が高いヌルは、どうしても警戒する必要がある


「しかし、歴史って面白いな。 俺の変わりに西条が来ても結局マリア姫に会うとはな~」

「あの二人じゃそれほど歴史を変える力も意思もないもの。 特に意識しない限り、本来の歴史の流れに乗っていくでしょうね」

人間に変えれる歴史が少ないというのもあるが、二人に歴史をどうこうしようという意識がないのが一番の原因だとルシオラは語る

歴史の修正力とまではいかないが、特に意識しなければ本来の流れに流されるのは当然の事なのだろう


「城の方はどうなってます?」

「そっちはダメだったわ。 地獄炉の位置とモンスター製造工場の位置は大まかに掴めたけど、城の中に別の異空間を繋げたりして好き勝手に改造してるみたいなの。 ヒャクメさんもそこまでは見えないらしくって」

小竜姫の問い掛けにモニターに城の映像を映したルシオラは、カタカタとキーボードを打ち込んでヒャクメが見えた情報を図面のように表していくが、わかるのは地獄炉とモンスター工場の大まかな位置だけである

ルシオラの研究室のある異界や魔鈴の使う異界のように、ある程度技術がある神魔ならば異界に空間を作る事が出来るのだが

ヌルは城の中にモンスター工場を作る空間を得る為に、異界と繋げてモンスター工場を作ってるようである

ヒャクメの千里眼も次元を越えた場所は見えないようで、空間の繋ぎ目を見つける事しか出来なかったのであった




「ようやくカオスの機械犬を見つけましたか。 ネズミ達はあの辺りのようですね。 行って捕らえて来なさい」

ところ変わって、そこは城の一室だった

ルシオラから見ればだいぶ古い型ではあるが、霊子レーダーがありその前には50代くらいに見える頭がハゲた男が居る

彼がプロフェッサーヌルだった

彼は付近の地図を見ながら、マリア姫とドクターカオスの捕縛を部下であるゲソバルスキーに命令する


「ドクターカオス…… 是非会ってみたい。 彼の留守中にここを訪れたのが不運でした。 彼なら我々の野望にも理解を示してくれると思うのですが……」

誰も居ない部屋で不気味な笑みを浮かべるヌルは、嘘か本当かわからない事をつぶやく

それが真実なのか嘘なのかは誰にもわからない



それからゲソバルスキーは夕暮れを待って鎧兵士100体とガーゴイルと火竜を連れて、先ほど機械犬と戦った場所に進軍していく

あの辺りは広い森林だが森の中には村が複数あるし、カオスやマリア姫あぶり出すのはさほど難しい事ではない

まあヌルとしてもあまり目立つ行動をして周辺の領主などに気付かれたら困るのだが、森という閉鎖的な場所だけに夜間のうちに奇襲してあぶり出せばバレない自信があるようだ


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