真の歴史へ・その三

さてオカルトGメンを後にした横島達だが、メドーサの新居の手配や美衣とケイの買い物などを済ませたのちに事務所に帰っていた

美衣は安全なのを実感してようやく落ち着き始めてはいるが、メドーサは相変わらず一線置いた態度のままである


「………」

何かが頭の中で引っ掛かってるメドーサは、ケイと遊ぶ老師を静かに見つめていた


(あいつどっかで会った気が……)

老師の気配でただ者でないのは気が付いているメドーサだが、どうしても思い出せない

人間じゃないのはなんとなく理解するが、まさか人間に化けてる神族だとは思ってもいないようだ


「ワシの顔になんかついとるかね?」

ニヤニヤと意味ありげな笑顔を浮かべる老師は、楽しそうにメドーサに話し掛ける


「アンタ何者だい? どっかで会った気がするんだがね」

老師がからかうような笑顔を浮かべてる事に少し不快そうな表情を浮かべるメドーサは、単刀直入に正体を尋ねていた

今更、横島達を相手に下手な化かし合いをする気はないらしい

無論積極的に協力するつもりもないが、ここまで関わってしまった以上敵対するつもりはないようだ


「おぬしと会うのは数百年ぶりじゃな。 それに直接話した事も無いしのう」

メドーサが素直に尋ねた事が少し残念だった老師は、つまらなそうに如意棒を手にして見せていた

どうやらメドーサの態度次第では、からうつもりだったらしい


「それは……、まさか……」

さすがのメドーサも、如意棒を見た途端驚き言葉に詰まってしまう


「他言は無用じゃ」

如意棒をしまいタバコを吸う老師に、メドーサは自然に冷や汗を流している

いろいろ驚く事が多い横島事務所だが、まさか斉天大聖が人間に化けているなどとは思いもしない


(馬鹿な…… 殺される)

小竜姫とは格が違い過ぎる老師に、メドーサは己の態度次第では即座に殺されると感じる

相手はその昔たった一人で神界に攻め込んだ斉天大聖なのだから、いかにメドーサでも対処のしようがない


「ただいまなのねー」

メドーサが死の恐怖と緊迫感で動けない中、空気をぶち壊わしたのはヒャクメである


「老師さま、頼まれてたゲームソフトなのねー」

「うむ、さっそくやってみるか。 ケイ、お前にもゲームの素晴らしさを教えてやろう」

固まるメドーサを放置して、老師は楽しそうにケイとゲームを始めてしまう



「あれ?、メドーサも来てたのねー でもなんでそんなに冷や汗流してるの?」

老師とケイは普通なのにも関わらず、一人だけ顔色が真っ青なメドーサにヒャクメは不思議そうに話し掛ける


「……アンタも人間じゃないね?」

我に帰ったメドーサが口を開くと、ヒャクメはクスクス笑ってしまう


「老師さま、メドーサをからかったのね?」

「ワシは何もしとらんよ。 まあ説明もしとらんがな」

笑って老師と話すヒャクメを見て、メドーサはようやく状況を理解し始める


(そうか! 小竜姫の上に居るのは斉天大聖か!)

小竜姫の不自然な行動には老師が関係していると推測するメドーサは、自分を助けたのも老師が関係してると気付く


「とりあえず、間違っては無いのねー この事務所に出入りする神魔は、みんなあなたの事情を知ってるから危険は無いわ」

笑って軽い口調で話すヒャクメに、メドーサは不思議そうな表情になる


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