真の歴史へ・その二

「あんた達に面白い人間を紹介してやるよ。 妖怪に手を貸してる物好きが居るんだ」

「えっ、人間ですか……」

意味深な笑みをしたメドーサの言葉に美衣は困惑していた

先程襲って来たのも人間だし基本的に人間を避けて生きて来た美衣は、突然人間を紹介すると言われても信じる事が出来ないようである


「行くあてがあるなら無理にとは言わないよ。 ただあの連中はプロだ。 ここも時期に見つかっちまうよ」

面倒な事に巻き込まれたメドーサは、どうやら全てを横島達に押し付けるつもりらしい

かつてGS試験の後で横島や小竜姫を調べた時に、メドーサは横島のGSとしての活動状況も調べていたのだ


(何でも覚えておくもんだね。 あの時は物好きな人間だと笑ったが、奴の事を知るいいチャンスだよ)

あれからメドーサはずっと横島の事を考えていた

何故殺し合った自分にこんな手段を用いたのか、今だに横島の本心が読めないでいる

事務所に行って本心を探ろうかとも思ったが、横島や小竜姫にそれがバレるのは嫌なのだ

そんなメドーサはこの件を利用して横島を探ろうと考えていた
 
 
「あなたも人間では無いようですが、その人間は信用出来るのですか?」

一方少し考え込んでいた美衣は、すでにメドーサが人間で無い事には気付いている

力を隠しているので魔族だとは気付かないようだが、自分より強いのはわかっていた

美衣はそんなメドーサが信用出来ると言うなら、その相手に会おうかと考えている


(どのみち私達親子には頼る存在は無い。 私達を助けてくれたこの方を信じるしか……)

まあ美衣もメドーサがいい人には見えないのだが、人間よりはマシだと判断していた


「さあね、それは自分で見極めるんだね。 少なくとも妖怪を助けた前例のあるのは確かだよ」

「わかりました。 お願いします」

結局、美衣はメドーサの話に乗ることに決めていた

自分達が住んでいた山奥も安全では無いし、人間の街も危険なのだ

最早美衣には選べるだけの選択が無かったのである



その後メドーサは追っ手が来る前に、二人を連れて横島の事務所に転移していく


(来ちまったとはいえ、私も歓迎されるとは思えないんだよねぇ)

美衣とケイを口実に事務所の前まで来たメドーサだったが、自分がここに来て歓迎されるとは思ってない

それでも来たのは、やはり横島が気になるからだが……


「あらメドーサじゃないの、いらっしゃい」

メドーサがドアを開けようとした瞬間、ドアは中から開けられていた

ドアを開けたのはルシオラである

驚きや戸惑いも全く無いルシオラは、普通にメドーサと美衣とケイを事務所に入れていく


(相変わらずわからない連中だね。 アタシを疑うとか無いのかね……)

緊張感のカケラも無いルシオラに、メドーサは呆れてしまう

常に騙し騙されて生きて来たメドーサには、理解出来ない事のようだ


「ヨコシマ、メドーサが来たわよ」

「ああ、こっちに通していいや」

ルシオラに案内されてメドーサ達が通されたのは、横島達が生活してるリビングだった

そこでは横島が老師と雪之丞と貧で、ゲームをしてる真っ最中である


(こいつら……)

メドーサは思わず自分の目を疑いたくなっていた

歓迎されない事は覚悟していたメドーサだが、全く無警戒なのは覚悟して無かったのだ


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