真の歴史へ・その二

しかし、メドーサの魔力砲が小竜姫を捕らえることはなかった

メドーサが魔力砲を放った瞬間、小竜姫は瞬間移動でメドーサの背後に回っていたのだ


「あなたにはまだ話があります。 しばらく眠ってて下さい」

「小竜姫! 何を……」

後ろに小竜姫が現れたのに気が付くメドーサだが、振り向く前に眠らされてしまう



「よかった。 小竜姫様が勝ったのね!」

小竜姫達が超加速に入って僅かな時間が経過した後、令子と美智恵が見たものは倒れたメドーサと無事な小竜姫の姿だった


「さてと…」

倒れたメドーサを小竜姫が特殊な札に封印しているところに、横島達が転移して来る


「こっちは上手くいったようね」

「ええ、メドーサは無事捕らえました。 風水盤をお願いします」

ルシオラは小竜姫がメドーサを封印したのを確認すると、元始風水盤の解除に向かう

そして横島達と小竜姫が周囲を警戒しながら、風水盤はルシオラの手により無事解除される


「先生! 令子ちゃん!」

一方、横島達と一緒に居た西条は美智恵と令子の無事を喜んでいた
 
 
「西条さんも無事でよかったわ。 ところでいつになったら動けるのかしら…」

「基本的に土角結界は術者を捕まえなければ、解除は不可能よ」

西条の無事を喜ぶ令子だったが、いつまでたっても動けない体に疑問を感じる

美智恵はそんな令子に、自分達を捕まえた黒岩が居なければ解除は出来ないと告げていた

最も美智恵は横島が文珠を持つ事を知るため、解除してくれる事を理解していたが…


「ゲッ…、西条さん、あの黒岩って奴捕まえたんでしょうね!!」

「いや…、僕は武器を全て取り上げられていたから…」

「西条さん!」

美智恵の話に令子は慌てて西条を問い詰めるが、西条は申し訳なさそうに答えるだけだった


「全く、だから来るなって言ったのよ。 命を粗末にする以外にも方法はいくらでもあるでしょうに……」

慌てる令子の前に愚痴をこぼしながら来たのはタマモである

タマモは西条の時と同じように、土角結界を術により解除して行く


「今の術は…!?」

てっきり文珠で助けられると思っていた美智恵は、自分の知らない方法に驚きを隠せない

「仕組みを理解すれば、土角結界も解除は難しくないわ。 陰陽五行から勉強し直しなさい」

問題の元凶たる美智恵を冷たく見つめたタマモは、それだけ告げてその場を後にする


「美神美智恵さん、今回は貸しにしておきます。 それと私達の事は他言無用に願います。 万が一他言した場合は…、わかってますよね?」

全てが片付いた後、美智恵達も外まで連れ出した小竜姫は笑顔で美智恵に釘を刺す


「わかっております」

美智恵は固い表情のまま静かに頭を下げたが、内心は穏やかではない

黒岩と戦う前に石像相手に負けたなど、屈辱でしかなかった

慣れない対物戦で数が多すぎたとが原因だが、実戦においては言い訳に過ぎない


(私は負けないわ。 力で劣っても、最後まで生き残った者が勝つのよ。 あなた達がアシュタロス一派とぶつかれば、私達にもチャンスはある)

屈辱の怒りをやる気に変えた美智恵は、誰にも見えないように静かに笑みを浮かべる


そして美智恵達と別れた横島達は帰国の途に着いて、元始風水盤事件は一応の解決をみる

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