真の歴史へ・その二

その時、黒岩達の動きに微妙の変化があったのに横島達は気が付いていた


『勝てないのを悟ったか…?』

『そうね。 でも何か狙ってるわよ!』

そろそろ力の差に気付いただろうと思う横島だったが、タマモは黒岩達が何かを企んでるのを感じている


『決めた方がいいわね』

念話で瞬時に相談した横島達は、ルシオラの一言を最後に黒岩達の捕縛に動き出す


(そろそろタイムリミットか…)

同じ頃、黒岩もまた戦いながらタイミングを計っていた

ジョージとビルに目で合図した黒岩は、横島から距離を開けて手榴弾を投げる


ドカーン!!


横島達はとっさに後ろに下がり防御をするが、黒岩達との距離が開いてしまう


「今日はこのくらいで失礼するよ。 俺達の任務は終わりだ」

今まで無視を続けていた黒岩が、珍しく横島に話しかけて来た


「任務? 元始風水盤が発動するにはまだ数十分あるはずだよな?」

ようやく口を開いた黒岩から情報を得ようとする横島だが、やはり黒岩は会話をする気は無いようで答えない


「逃がすと思うの?」
 
厳しい表情ねルシオラの問い掛けに黒岩は、無言で何かのスイッチを押す


ガタガタ…


その瞬間、洞窟が揺れて激しい地震が訪れる


「ここで待ち伏せした理由は一つ。 罠があるからだ。 生き埋めになるがいい」

最後まで無表情の黒岩は、他の二人を連れて転移して逃げて行った


「地の利は向こうにあった訳だ」

あまりに見事な手際に思わず感心してしまう横島だったが、ゆっくりもしてられない

どうやら洞窟を破壊する下準備をしていたらしく、どんどん岩が辺りに落ちて来る


「ヨコシマ! 早く奥に行くわよ!」

ルシオラに急かされた横島は、その場に居た者達を抱えて小竜姫の元に転移して行く



その頃、小竜姫達の元にも地響きが届いていた


「これは…」

「ちっ! 黒岩の奴、しくじったね」

地響きに驚く小竜姫に対して、メドーサは苦々しい表情で愚痴る


「どうやらあちらは決着が着いたようですね?」

メドーサの表情と言葉で横島達の勝ちを悟る小竜姫だが、そのメドーサも意味深な笑みを浮かべていた


「ただで負けると思ってるのかい? 奴はこの洞窟にかなり手を加えていたからね。 今頃お前の仲間達は生き埋めだよ」

妙に余裕のある小竜姫が気に入らないメドーサは、精神的に揺さぶりをかける

小竜姫が横島と恋仲なのは知っているのだし、この状況ではさすがの小竜姫も冷静ではいられないだろうと思う


「フフフ… 横島さん達は生きてますよ。 その程度の罠など何度経験したことか」

期待を裏切るような余裕と笑顔の小竜姫に、メドーサの苛立ちはピークに達して行く


「ならあんたと決着をつけてやるよ!!」

小竜姫の態度と言葉に苛立ったメドーサは超加速で決着を付けに行った


「決まるわね…」

「まさか、小竜姫様は負けないわよね?」

一方完全に忘れ去られた存在の美智恵と令子は、超加速に入ったメドーサと小竜姫の居た場所を見ていることしか出来ない


「負けないでしょうね」

小竜姫が負けたら自分の命が危ない令子は万が一を考えて不安になるが、美智恵は負けるはずが無いと核心する


(アシュタロス打倒を目指す小竜姫様がメドーサに負けないわ。 多分文珠も持ってるでしょうし…)

ここまでの事前作や準備を考えても、小竜姫の負けは無いのは当然だと思う美智恵の興味は、やはり小竜姫の変化に向いていた

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