真の歴史へ・その二

その頃、風水盤の近くでは首から下を土角結界に固められた美智恵と令子の姿があった


「あんたが美神美智恵か。 ハーピーを撃退したって聞いたからどんな奴かと思えば…」

あまり興味なさそうに見るメドーサに対して、美智恵と令子は厳しい表情で睨みつけている


(今に見てなさいよ!)

魔族に捕まった屈辱からか令子は怒りを溜め込んで睨むが、メドーサはまるで相手にしてない


「私達をどうするつもりかしら?」

こちらは同じくメドーサを睨んでいる美智恵だが、内心は冷静に反撃のチャンスを狙っている

土角結界は黒岩が使った術な為、黒岩が居ない現状ではどうしようもないのだが諦めることは無い


「私は興味無いんだけど、時間移動能力者を欲しがってる奴がいるらしくてね。 最終的には殺すんだろうけど…」

意味深な笑みを浮かべるメドーサの言葉を聞き、美智恵は危機感を募らせる

時間移動能力者を求める理由はわかりきっているのだ


(マズいわ。 小竜姫様達が来るより先に他の場所に運ばれたら全て終わってしまう!)

美智恵はいよいよ追い詰められていた
 
一か八か最後の賭けに出ようか悩んでる時、洞窟の中を歩く音が聞こえて来る



「来たね小竜姫…」

その表情は喜びや期待にも見えた

小竜姫と戦える事に喜びを感じているのか、それとも二度も屈辱を与えた小竜姫を殺せる事に喜びを感じてるのかわからない

だが、メドーサが小竜姫を待っていたのは確かだった


「今度は元始風水盤ですか… 毎回手の込んだ事を考えますね」

ようやく姿が見えた小竜姫は、風水盤や美智恵と令子の姿など辺りを警戒しながら見ていた


「お優しい神様は人間が気になるのかい?」

「気にならないと言えば嘘になりますが、人質にはなりませんよ。 その二人は自ら此処にやって来たのですから」

メドーサのからかうような口調にも笑顔で答える小竜姫

そして美智恵と令子はそんな二人の対峙を、息をのむように見つめていた


「クククッ… 可哀相に、見捨てられちまったね~」

面白そうに美智恵と令子に話し掛けるメドーサだが、二人は睨むだけである


「メドーサ、神魔のつまらない争いに関わるのはやめなさい。 あなたならわかってるはずです」

真剣な表情で説得をする小竜姫の言葉に、メドーサは不愉快そうな表情をする


「エリートさんがそんな事を言っていいのかい? あんただって神界の犬だろ!」

「さて…、どうでしょうね? 元始風水盤を止めて話を聞くなら教えますが?」

苛立つメドーサが挑発しても小竜姫は笑顔で話すだけだった

そして言葉が途切れた瞬間、二人の気配が変わる


キーン!!


突然静かな空間に神剣と刺又がぶつかり合う音が響いた

小竜姫とメドーサは無言のまま、何度も神剣と刺又を打ち合う


バチバチ…

ぶつかり合う竜気と魔力の渦は美智恵と令子の目にもしっかり見えていた


「なんて戦いなのよ… 次元が違い過ぎるわ」

令子が小竜姫とメドーサの戦闘を見たのはこれが始めてだった

以前GS試験の時も居たのだが、あの時は超加速だったので全く見えなかったのだ

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