真の歴史へ・その二

「来たね小竜姫。 今度こそケリを付けてやるよ」

水晶玉で外を見ていたメドーサだが、その表情はやる気と自信に満ちていた

二度も負けているだけに油断はしてないが、今回は完全に自分のテリトリーなため強気のようだ


「タップリ歓迎してやるんだよ!!」

黒岩達三人はメドーサの言葉に無言のまま頷き部屋を後にする



一方屋敷から少し離れた場所では、美智恵達が車の中で横島達の様子を伺っていた


「正面から乗り込むなんて… なんて自信なの」

横島達があえて正面から乗り込んだことに驚きを隠せない美智恵

やはり横島達と美智恵では、根本的に考え方が違うのだろう


「一人知らない女性が居ますね?」

「神族の調査官のヒャクメ様よ。 小竜姫様が呼んだ助っ人でしょうね」

西条の問い掛けに答える美智恵だが、頭の中ではヒャクメが居る意味を考えていた


(まさか、神魔界が本格的に動くの? アシュタロス戦前には動けないはず…)

ヒャクメの存在を見た美智恵は、神魔界がアシュタロス関連に積極的に関与するのかと考え込む

下手にアシュタロスを刺激すれば歴史が大きく変わる可能性があるが、神魔界なら行動に出てもおかしくはないと思う

そんな的外れな推測をする美智恵だが、アシュタロス戦後の未来を知らないため神魔界が過激派対策で手を出せない事情を知らないのだ


「ママ、私達も行くんでしょ?」

最低限の装備を自分で持つ令子だが、さすがに緊張感が出ておりプロらしい表情になっている

やる気も無く文句もまだまだたくさんあるのだが、いざ戦闘を前にして気持ちを切り替えたらしい


「ええ、彼らが突入して少し間を空けてから行くわ」

美智恵の言葉に気持ちを更に引き締める令子と西条は、突入のタイミングを静かに待っていた



「さて、私も仕事をするかな…」

複数ある地下空間の出入口の一つを見張るのはワルキューレである

横島達が正面に集中する隙に、他の出入り口から仲間の魔族などが出入りしないか見張るためであった


『こちらジーク、配置に着きました』

『横島達はすでに正面から突入した。 誰が出入りするかわからんから油断するな!』

同じくジークもワルキューレとは別地点の出入り口を見張っている

通信鬼で綿密に連絡を取り合うジークとワルキューレも準備万端だった


「いい屋敷に住んでるな~」

一方周囲を警戒しながら進む横島達だが、全く障害も無く屋敷の中まで入っていた


「元々、香港の富豪の別荘だった屋敷よ。 1ヶ月ほど前にメドーサ達が買い取ったらしいわ」

豪華な屋敷に感心する横島に、ルシオラは裏事情を話し出す

風水盤を作れる地点は地脈のポイントで無くてはならないため、かなり場所が限定される

香港では未来と同じ地下空間なのだが、そこの地下空間に繋がる空洞があるのがこの屋敷の地下であった


「こっちなのね…」

ヒャクメの心眼により地下に向かう隠し階段が見つかる


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