真の歴史へ・その二

同じ頃、横島達は特に気負う訳でも無く食事をしていた

これから戦場に向かうのにも関わらず、和やかな食事をするのだからやはり格が違うのだろう


「お姉さん、おかわりなのね~」

「俺も同じやつ追加だ!」

横島達だけでなくヒャクメと雪之丞までもが、いつもと変わらない様子である

まあ、横島達の事前作や準備を知っているだけに気負わないのだろうが…

これから魔族のアジトに向かうのをあまり気にしない雪之丞も、少し変わってるのかもしれない



食事の後、横島達はいつもと同じように元始風水盤の元に向かう

横島達四人に雪之丞とヒャクメが、元始風水盤の場所に向かうことになっていた

ワルキューレとジークは魔界正規軍所属なため、まだその姿をメドーサ達に知らせない方がいいと判断したため後方要因になっている


「この屋敷か…」

横島達はメドーサがアジトに使っている屋敷の正面に来ていた


「この屋敷の地下から元始風水盤のある地下空洞に繋がってるわ。 別の入口も複数あるけど、ここから入るのが一番よ」

ルシオラの説明を聞きながら歩く横島達は、どうやら正面から突入するようだ


未来と違い黒岩や正体不明の魔族が関わっている今回の戦いは、明らかにメドーサのやり方にしては不自然な事もある

未来において作戦の実行役だった勘九朗と黒岩の違いが原因かもしれないが、未来より慎重でありしたたかなのだ

事前の情報やワルキューレ達の報告を考慮した結果、正面突破を選んだのである


これにはもちろん訳があり、横島達が警戒したのは罠と戦力の分散であった

戦士ではないヒャクメや、メドーサクラスが相手ではまともに戦えない雪之丞がいるため出来るだけ戦力の分散は避けたいのだ


ヒャクメに関しては罠の発見や不慮の事態には必要なため、本人の申し出により参戦している

心眼や霊視に関しては横島達も使えるが、メドーサクラスとの戦闘中に周囲の警戒までは不可能と言う理由もあった


キィーー


横島達が門の前に立つと自然と門のドアが開く


「さすがメドーサですね。 私達が来ることは予測済みですか」

抵抗も何も無く門が開いたことに、小竜姫は素直に感心してしまう


「う~ん、屋敷の庭には罠とかは無いのねー。 と言うか結界も無いのね」

全くの普通の屋敷に、少し拍子抜けするヒャクメ

何かしらの罠はあるだろうと思っていたようだ


「外から見える部分に結界や罠を仕掛ければ、怪しいと言ってるようなものだからな。 それにこの辺りに仕掛ける罠にかかるレベルの相手なら敵じゃないってことだろ」

驚くヒャクメに簡単に推測する横島は、警戒をしながらも屋敷の中へ進んで行く


「横島、お客さんも来てるわよ」

意味ありげな笑みを浮かべたタマモは、屋敷から離れた場所にある車に視線を送る


「ほっといていいよ。 この程度でやられるタマじゃないしな」

「警告したにも関わらず来たんだから、お手並み拝見ね」

あまり興味なさそうな横島と、彼女達の出方を楽しみな様子のルシオラ

この展開は予想通りなようである



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