真の歴史へ・その二

「そうか… なら香港に出発する準備をしてくれ。 一応着替えくらいは持ってかないとな」

「もう用意してきたぜ!」

着替えなどをすでに用意していた雪之丞を見た横島は、始めからわかっていた答えだったかもしれないと思う

多少複雑な気持ちは残るが、横島達とて必ず帰って来るつもりなのだ

未来よりは柔らかい表情をした雪之丞の決意を頼もしく感じている


(頼りにしてるよ、雪之丞)

横島はやる気に満ちてる雪之丞を見つめて心で静かに呟く



それから数時間が経過した頃横島達は、事務所のリビングで留守番をする老師やおキヌや小鳩や愛子や貧と出発前の挨拶をしていた


「もし急な仕事が入れば唐巣神父に頼んでくれ。 話は通してあるからさ。 老師、留守をお願いします」

おキヌと小鳩と愛子に留守中の対応について説明した横島は、留守番を老師に頼んでいる


「うむ、任せておけ。 くれぐれも油断するで無いぞ」

最近ゲーム三昧だった老師は珍しく真剣な表情で、横島達に気合いを入れていた


「この事務所には対神魔防御システムがあるわ。 まだ未完成だけどある程度使える。 それに関しては人工幽霊に教えてあるから、老師の判断で後はお願いします」

横島達が居ない間にメドーサ達の別動隊が事務所に人質を取りに来ることも多少は想定された為、ルシオラは出来るだけの備えはしてある

メドーサ本人はそんな手段を取る可能性は低いのだが、敵の戦力が未確認な為慎重に慎重を期して計画を立てていた


「三人共、外出する時は文珠を複数持つことを忘れないで下さい。 皆さんに危険が及ぶ可能性は低いのですが、万が一のためです」

そして小竜姫は外出する時の注意点を三人に話す

必ず文珠を持ち歩くことや、夜などの外出は控えることなど一般的な注意点だったが三人はしっかり頷いていた



「気をつけて下さいね」

「皆さん無事に帰って来て下さい…」

「雪之丞君は特に気をつけてね」

心配そうなおキヌと祈るような小鳩、最後に愛子は意外と抜けてる時がある雪之丞を心配している


「行ってきます」

横島達は笑顔で一言告げて、瞬間移動で消えて行った



「大丈夫でしょうか…」

「心配するな。 普通に考えれば、あの連中に勝てる相手は人界におる訳ない」

心配そうに呟く小鳩に貧は、比較的楽観視しているようである


「油断は出来んが大丈夫じゃよ。 横島がおるしの」

老師はいつものリラックスした表情になり、キセルのタバコを吸う



一方横島達が瞬間移動した先は、香港のホテルの一室だった


「なあ、不法入国じゃねぇか?」

まさか瞬間移動で、そのまま香港に来るとは思わなかった雪之丞は少し驚いている


「まあ、そう言われるとそうなんだけどな… 飛行機って危険なんだよ。 事務所は怪しい連中に見張られてるからさ」

微妙に困った表情になる横島

理由としては、空港にメドーサの仲間が居ても人が多過ぎて判別出来ないこと

それに飛行機を狙われたら横島達はともかく他の乗客が危険なため、瞬間移動で来る道を選んでいた


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