真の歴史へ・その二

ワルキューレ達が調査に向かってから数日したある日

いつもと同じく平穏な日常を迎えていた事務所に突然ある人物がやって来る


「お願いルシオラちゃん~ 追われてるのかくまって~」

彼女は六道冥子、怯えた様子で事務所に駆け込んで来て、応接室で書類を整理していたルシオラにすがりつくように助けを求めた


「どっ… どうしたの? 六道さん」

突然の事態に訳の分からないルシオラは不思議そうに冥子を見る

そんな騒がしいのに気がついた横島達が応接室に集まって来る中、冥子は涙をこらえて話し出す


「お母さまに追われてるの~」

「………」

冥子の言葉に横島達は無言になる


「あの…、六道さん。 親子ケンカでここに逃げて来られても…」

横島達が呆れる中、申し訳なさそうに小竜姫がお引き取りして貰おうとしていた


そんな小竜姫に対して冥子は、目に涙を溜めてすがりつくように見つめ、そして一枚の写真を見せた


「これは…?」

横島はその写真を覗き込んで思い出す、かつて未来でも同じ騒ぎがあった事を…

「お見合いですか?」

どっから見てもお見合い写真にしか見えないその写真を見て小鳩はつぶやく


「割とええ男やん」

「真面目そうな人じゃないですか」

貧とおキヌもすっかりお見合い写真だと思ったようである


「違うのよ~ それはお見合いではなくて~ 果たし合いの写真なのよ~」

突然現れたのは冥子の母である冥菜だ



『どうでもいいが、勝手に事務所まで上がり込むのはやめて欲しいんだが…』

ため息混じりに念話でつぶやく横島


『何でうちに逃げて来るのかしら? 前もあったの?』

『ああ、前は美神さんの元に助けを求めて来たな』

冥子とはたまに共同で仕事をするが、特別親しい訳では無いのに、ここに逃げて来たのがタマモは不思議であった


『美神さんは忙しいですからね。 捕まらなかったんじゃないですか?』

『冥子さん友達少ないのよね… 悪い子じゃないんだけど、あの式神と六道の名前が邪魔して友達出来ないのよね』

小竜姫とルシオラは同情と迷惑が半々といった様子で微妙な感じのようだ



『このままじゃ果たし合いに付き合わされるぞ? 最後にはプッツン付きで…』

横島がこの先の展開を思い出して、ルシオラ達とどうするか相談を始める


『面倒ね。 このまま帰ってもらえば?』

『そうね… 関わってもいい事ないんじゃない』

タマモとルシオラは行きたくないようで、帰ってもらいたいようだ


『私は行ってもいいと思います。 私達は行く意味は無いですが、雪之丞さん達はいい勉強になりそうですから…』

『そう言えばそうね。 式神使いの戦いなんてあんまり見れないし、この機会に見せるのは必要ね』

『後はプッツンさえ気をつければいいって事ね』


話の流れを変えたのは小竜姫である

雪之丞とおキヌと小鳩の見習い達に、式神使いの戦い方を見せて勉強させたと考えてた

行く気の無かったルシオラとタマモもそれには納得して、結局事務所総出で果たし合いの見学に行くことになった

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