真の歴史へ・その二

その後、いつものような和やかな夕食が終わると、雪之丞と小鳩は帰宅していき

おキヌは自分の部屋に戻って、楽しげに愛子に勉強を教わっている


そして横島達とヒャクメは令子と西条の監視を始めていた


「不思議な場所に居るのねー?」

ヒャクメは西条と令子が移動したのは監視していたが、到着後に西条が令子に説明した時は見てなかったようだ


「本当ですね… 随分古い地下室のようですが?」

小竜姫は少し不思議そうにヒャクメのパソコンを見つめる


「場所はどこなんだ? あんな地下室は俺も全く知らないな」

横島は驚いた様子でヒャクメに確認をした


「うーん、奥多摩の山奥なのね!」

ヒャクメはパソコンを地図に変えて場所を見せた後、次は地上の建物を横島達に見せる


「奥多摩って、ハーピーが近くに居るんじゃないの?」

「そうなのよねー 5キロくらい離れた場所に居るのね」

タマモの問いかけにヒャクメは、今度はハーピーを遠視で探して見せた


「あの地下室は何かの研究室かしら…」

ルシオラは首を傾げながら考えこむ
 
 
レンガの壁に鉄の柱と天井の地下室なのだ

まるで映画に出る怪しげな研究室に見えた


「凄いのね~! かなり分厚い鉄板に囲まれた地下室なのね! 壁もレンガの後ろには鉄板で囲まれてる部屋なのね」

ヒャクメは驚いたように説明していく


そしてヒャクメの遠視は地上の建物の中も見せていった

「これは…」

横島達は驚きパソコンを見つめる


「こんな作戦を立てたのね…」

タマモは呆れ半分感心半分と言った表情だ


「美神さんらしいですね」

苦笑いの小竜姫


「隠れてるだけじゃあ性に合わないみたいね… 誰の発案かしらね」

ルシオラはクスクス笑う


横島達は西条と令子の作戦を理解して、ハーピーが動くかどうか監視していく



そして時刻は日付が変わる頃、地下室の西条は静かに時が過ぎるのを待っていた

近くでは2人の令子が寝袋に入ってよく眠っている


「この状況でよく眠れるな…」

西条はため息をつき、眠る2人の令子を見つめていた

小さな令子は状況をあまり理解してない為、眠って当然だが

大人の令子までグッスリ眠るとは思わなかった


「神経がず太いと言うか、何というか…」

いつ魔族が来るかわからない状況でグッスリ眠る令子に、西条は苦笑いを浮かべる


「お金… 全部… 私のよ…」

令子は気持ち良さそうに眠り、時々寝言をつぶやく



その頃ハーピーは、令子達が隠れている屋敷を離れた場所から見ていた


「どこに逃げても無駄じゃん。 あんた達はずっと監視してたんだから」

ハーピーはニヤリと笑みを浮かべて指を鳴らす

パチン!


ハーピーの周りにはたくさんの鳥が集まって来た

そしてハーピーが再び指を鳴らすと、フクロウのように夜目のきく鳥達が屋敷に向かって飛んでいく


「どんな罠も無駄じゃん」

ハーピーは卷族から送られてくる情報を見て自信ありげにつぶやいた


「さて、今日こそまとめて殺してあげるよ!」

ハーピーは屋敷に向かって深夜の空を飛んでいく

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