真の歴史へ・その二

西条と令子が慌ただしい1日を送ったその日


横島達は仕事が無い為、事務所でいつもと変わらぬ時間を送っていた

ヒャクメが1時間に一度ほど、西条と令子を遠視して場所を確認はしたが、それ以外はゆっくりしている

ヒャクメの監視が1時間に一度な理由としては、監視の必要があまり無いからだ


オカルトGメンは昨日の爆発の件で、朝からテレビ局で散々放送されている

特に正式な捜査官である西条には、外に出るたびマスコミが付きまとい

ヒャクメが監視しなくてもテレビを見れば西条の動きがわかるからだ


異界の方では、雪之丞とおキヌと小鳩が小竜姫の指導の元、修行をしている


「はい、その調子ですよ。 おキヌちゃんは幽霊だった経験からか、霊力の扱いがわかってきましたね」

小竜姫は座禅を組むおキヌを霊視しながら満足そうに語りかける


「難しいですね…」

同じように指導はするが、小鳩はおキヌに比べれば苦戦している

霊能力に関わるのが初めてだから、多少の差は仕方ないだろう


「小鳩さんは焦らないでいいですよ。 昔の横島さんに比べれば優秀ですから」

小竜姫なクスクスと笑って小鳩の緊張をほぐす


「「「「えっ!?」」」」

小竜姫の話におキヌ達と見学中の貧まで驚く

今の優秀な横島しか知らない彼らには、小竜姫の言葉の意味が理解出来ない


「どういう意味だ?」

雪之丞は考える前に小竜姫に問いかける


「そんなに驚かなくても… 横島さんは霊能者の家系に生まれた人ではありません。 元々はただの素人だったんですよ」

小竜姫は懐かしそうに微笑む


「そんな馬鹿な… 力は隠しとるようだが、かなりの実力なはずや… エリート中のエリートや無いんか?」

貧は小鳩の修行を見守っていて、横島の実力に薄々気が付いている

無論人間で無い事は知らないが…


「そうだぜ! あの実力は並みの人間には無理だ」

横島の実力を見たことある雪之丞も、小竜姫の話が信じられないようだ

小鳩も、同い年くらいの横島が素人だった話は不思議なようで驚いている


この場で無言なのはおキヌである

彼女だけは知っているのだ

横島達が未来から着て、横島が今は人間で無い事実に…


「エリートですか… 横島さんには最も縁遠い言葉かもしれません。 無論、才能はありました。 天才と言うのはピッタリでしょう」

小竜姫はかつての横島を思い出し、言葉を選びながら話す


「ですが、横島さんは霊能の修行や教育を受けたのは随分遅かったのです。 私が彼に教えるまでは、才能のみで実戦を繰り返し戦い抜いていました。 その為、横島さんは多くの厳しい経験をしました…」

小竜姫は懐かしさの中で、わずかだが悲しみを見せた

(むしろ、才能があったゆえに苦しんだんですよね…)

小竜姫は思う

今自分達が一緒に生きる奇跡には感謝する

しかし…

もう二度と、横島を苦しめることにはしたくないと


「話が逸れましたね。 小鳩さんはそんな横島さんの昔に比べれば優秀です。 焦らずにゆっくり修行して行けば大丈夫ですよ」

小竜姫は笑顔な戻り修行を続ける


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