そんな修行風景を横島とヒャクメと貧乏神は見守っている


「お前さん達ホンマに凄いな… 異界を持つなんて、並の神魔じゃ不可能なはずや」

貧乏神は驚きながら、異界を見渡す


「俺達は、神魔最高指導者の意向で影で動いてるが、別に部下じゃない。 だからある程度の力は必要なんだよ」

横島はある程度真実を伝える

貧乏神はこれから小鳩と一緒に横島の事務所に居ることになる

横島は徐々に情報を与える必要はあると考えているのだ


「みんな頑張るのねー！」

ヒャクメはお茶とせんべいで見学している


「ヒャクメ…、他人事じゃないよ。　お前も修行をする約束だろ？」

横島はいつの間にか、修行をしないで見学してるヒャクメを困ったように見る


「みんな忙しいから、今日はお休みかと思って……」

ヒャクメは顔に冷や汗をかいて、言い訳をする


「今日は俺がお前の修行の相手をするよ。 ヒャクメは基礎は出来てるみたいだから、少し戦いに慣れてもらう。 俺の攻撃をかわして反撃しろ」

横島はヒャクメに合わせて、軽く霊力を上げる　
　
　
「横島さんの攻撃なんてかわせないのねー！」

ヒャクメはオドオドして後ろに逃げていく


「嫌なら、小竜姫に変わってもらうよ？」

横島はニヤリとしてヒャクメに宣告する


「頑張るのねー！！」

ヒャクメは小竜姫の名前に一転して、ファイティングポーズを決めてやる気を出した



「ヒャクメ……、後でお仕置きです」

あからさまに態度を変えたヒャクメの様子を小竜姫はしっかり見ていた


ヒャクメは相変わらずだが、修行は進んでいく

雪之丞とピートは霊力の基礎が終わると、二人でそれを生かした格闘に入る

力量が近い二人は、お互いに競い合うように修行していく


格闘技術は雪之丞が上だが、霊力の使い方などではピートが上で、お互いいい刺激になっていた


おキヌと小鳩は、霊力を引き出すまではいかないが、自分の中にある霊力を感じるのはできるようになった


ヒャクメは泣き言をいいながらも、なんとか修行をしている

なかなか修行の成果は見えないが、攻撃を避けるのは上手くなってきていた



それからしばらくしたある日

その日は朝から雨が降り続いている


横島の事務所では横島とルシオラとヒャクメが、窓から空を見ながら話をしていた

「横島さん、おそらく今日来るのね…」

ヒャクメは珍しく真剣な表情で空を見ている


外は強い雨と雷が鳴り、酷い嵐だ


「そうね…。　先ほどから時空間に微かな乱れが生じてるわ。　時を超えて彼女が来る証よ」

ルシオラは何かの測定器みたいな物を持っている


「いよいよか…。　ハーピーはすでに近いのか？」

横島はヒャクメを見て聞く


「ハーピーは、昨日から美神さんを見張ってるのねー」

ヒャクメは心眼でハーピーを昨日から見張っている

普段は遊んでばかりのヒャクメだが、一応やることはやっていた


「美智恵さんは、３日ほど前から姿を表さないしな…。　やはり過去の自分に会うのは避けたか」

横島は考え込むように呟く


「どうかしら…。　案外、美神さんに試練を与えるつもりで消えたのかも…」

ルシオラは悩みながらも、自分の考えを話していく

「あの人は時間移動をかなりの数行ってるわ。　でも、過去の美智恵さんは、今の変わった未来しか知らない。　私達の知る変わる前の世界は知らないわ。　なら隠れる必要無いもの」

ルシオラは時間移動に関してかなり研究している

過去の美智恵が令子の為に未来を見に来ることはあるだろうが、横島達が逆行して来たのが約５年前

その時から歴史は変わっている

ならば、自分が死んだことにする未来は知らないはずである