真の歴史へ

「え~と、貧乏神は花戸さんの家から切り離します。 貧乏神にとりつかれた本人は随分前に死んでますし…、顔を見たこともない孫や曾孫まで罰を受ける必要は無いですから」

子鳩の疑問に小竜姫が考えながらも答えている


「切り離しますって、出来るんですか!? 今までどんなGSも何も出来なかったのに…」

子鳩は小竜姫の話を驚いている


「本当は無理なんですが…」

小竜姫は何処まで説明するか迷って横島を見た


「家の事務所は神界と関係が深いからな。 そのくらいの融通なら聞くよ」

横島は驚いている子鳩に笑いながら話した


「ヒャクメはこんな時に限って遊びに行ってるんだから…」

小竜姫は肝心な時に居ないヒャクメにため息をつく


「ただいまなのね~」

噂をしていると、人間に化けてるヒャクメが、お菓子の袋を持って帰って来た


「おかえりなさい」

おキヌは笑顔でヒャクメを迎えて、お茶を出すべく台所に向かう


「ヒャクメ、ちょうど良いところに帰って来ました。 神界に行って貧乏神をこの花戸さんの家から切り離して下さい」

小竜姫は帰って早々にヒャクメに事情を話す


「確かにあまりにも可哀想なのね~ 罪を重ねた本人がとっくに成仏して、子孫が貧乏神に憑かれるなんて」

ヒャクメは話を聞いて、同情している


「とりあえず早めに頼むよ」

横島が苦笑いしてヒャクメに頼む


「わかったのねー」

ヒャクメはお菓子の袋を置きっぱなしにして、パタパタと別室に向かった


横島達はヒャクメの帰りを待ちながら、子鳩と会話をして待つ


本来は神族が個別に人間界の事に介入など有り得ないし、一度取り憑いた貧乏神を途中で切り離すなど不可能なのだが…

横島達なら話は別である


横島は現在神魔最高指導者と共同で、対アシュタロスと対神魔戦争の行動をとっている

その過程において必要とあれば、かなり自由に行動出来るのだ

普通にしてれば、後数年で年季明けの貧乏神を切り離すなど簡単だった


子鳩はあまりに簡単に話が進み、不思議そうに横島達を見るが、基本的にお人好しなので信じている


そして3時間後、ヒャクメは神界から戻って来た
ヒャクメは現在最高指導者直属の任務で横島達のサポートをしている為、最高指導者に許可を貰ってあっさりと貧乏神の切り離しに成功していた


ヒャクメが戻ってしばらくすると、貧乏神は子鳩から切り離され、一瞬で姿が縮んで雪之丞が攻撃する前くらいに戻った


貧乏神は姿が戻り、子鳩を探して事務所に入るが……

「なんでこないに神族やら魔族やら妖怪がおるねん!?」

事務所に居た人外メンバーを見て驚いて固まっている


「貧ちゃん、どういう意味?」

子鳩は不思議そうに貧乏神に聞く


「子鳩…、この中で人間は3人しかおらん。 あの二人は神族だし、あいつは魔族や。 残りの二人は妖怪や…」

貧乏神は一人一人指差しながら正体を説明していた


貧乏神も神族の一員である

まして人間界の長い貧乏神は、ルシオラ達の正体をすぐに見破っていたのだ

さすがに横島の正体はわからなかったらしく、人間として数えていたが


「さすがは貧乏神なのね~ 私達の正体を一瞬で見抜くなんて!」

ヒャクメは感心しながら笑っている


「私達のことは他言無用に願います。 最高指導者様の勅命任務で此処にいますので…」

小竜姫はヒャクメとは違い真剣に貧乏神に話している


「わかった…。 それでわいはこの後神界に戻ればいいんか?」

貧乏神は最高指導者の名前にビビっている

そして、寂しそうに子鳩を見てから、今後のことを聞いた


「そんな… 貧ちゃんお別れなの!?」

これに驚き取り乱したのは子鳩だった

子鳩にとって貧乏神は家族なのだ

その貧乏神が突然別れると言うのに取り乱している


「仕方ないんや子鳩。 そう言う掟や」

貧乏神と子鳩は別れを惜しむように話している


「あっ! それなら大丈夫なのねー あなたの今後は好きにしていいって許可貰って来たのねー」

ヒャクメは相変わらず緊張感が無い口調で重要な話をしている

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