真の歴史へ

「へっ!?」

横島は驚いてヒャクメを見た

ルシオラ、タマモは何か裏がありそうだと疑っている

そして小竜姫はため息をついて話し出した

「要は、しばらくここで遊びたいと言うことですか?」

呆れたような視線をヒャクメに向ける小竜姫


ヒャクメはピクリと眉が動いて、冷や汗を浮かべていた

「そっ そんな理由じゃないのねー 神界が息苦しくて帰りたくない訳じゃないのねー…」

ヒャクメは慌てながら言い訳した


「相変わらず嘘が下手ね~」

言い訳のつもりが、本音がまるわかりのヒャクメに、ルシオラは苦笑いしていた


「言い訳が下手なのは横島といい勝負ね…」

タマモは横島を見てニヤリとした


横島は少し困ったように視線を外した


「ふー、仕方ないですね… ハーピーの事件が解決するまでですよ? 後、私達の生活を覗いたらすぐに神界に送り返しますからね!!」

小竜姫は少し考えていたが、神界でのヒャクメの立場も知っているので、渋々オーケーを出した


ヒャクメは神界では情報部署の調査官だ

その仕事内容は、魔界や人間界での様々な情報の収集や分析

それに神界内部の調査もあった


味方の神族を調べる立場で嫌われる仕事な上、ヒャクメは心の中まで見える心眼の存在もあり、神族内部でも敬遠されていた


ただでさえ堅苦しい神界でヒャクメは更に孤独だったのだ


ヒャクメが友達と言えるのは、小竜姫くらいだ


小竜姫はヒャクメが心を覗いてもお仕置きはするが、拒絶はしなかった


そんな裏表の無い素直な小竜姫とヒャクメは本当に仲がよかった

前はよく妙神山に遊びに来ていたのだ



小竜姫はそんなヒャクメの気持ちを察して、オーケーを出したのだ

まあ、自分達の生活を覗かないように釘は刺したが…



「ありがとうなのねー これでしばらくゆっくり出来るのねー」

ヒャクメは小竜姫の話に嬉しそうに笑っていた


「ヒャクメ、遊ぶのはいいが、ハーピーと過去から来る美智恵さんの監視もしっかり頼むな…」

横島は少し心配そうにヒャクメに話した


未来では、アシュタロス戦後に横島達と一緒に修行して成長したので良かったが、この時代のヒャクメは結構ドジだった…


未来で平安京に行った時も、うっかり横島を連れて行ってしまい問題が複雑化した

それにアシュタロス戦では、霊波迷彩服に気が付かず、令子への暗殺部隊とアシュタロスの侵入を簡単に許している


能力を生かせない甘さや精神的脆さが目立っていた


「大丈夫なのねー ヒャクメちゃんに任せるのねー!」

ヒャクメは自信満々に胸を叩くが…


「少し修行もしてもらった方がいいんじゃない?」

タマモはあまり信用してないようで、小竜姫に話した


タマモの言葉に横島とルシオラも頷いた


「そうですね… ヒャクメには少し修行してもらいます!」

小竜姫はヒャクメを見てニッコリ微笑んだ


「……小竜姫の修行を受けるの……?」

ヒャクメは顔色が真っ青だった


「そうですよ。 これからアシュタロス一派との戦いは激化します。 ヒャクメにも、レベルアップして貰わないと危険ですからね」

小竜姫はやる気を出してヒャクメに話した


「嫌なのねー! 小竜姫の修行は地獄なのねー! 私は文官だから無理なのねー!!」

ヒャクメは目に涙を溜めて、首をイヤイヤと横に振っていた


「ヒャクメ… そんな言い方じゃあ、まるで小竜姫が鬼みたいに聞こえるが…?」

横島は苦笑いしていた

あんな言われ方をすれば、小竜姫の修行が厳しくなるのだから…


「ヒャクメ… どうやら精神から鍛え直す必要がありそうですね」

小竜姫はあんまりな言われ方に、笑顔でプレッシャーをかけていた


「ううう…、私はたまにはゆっくり休みたいだけなのに…」

ヒャクメは泣きそうな顔で、横島に助けて欲しそうな視線を送る


「ヒャクメさん、気持ちはわかるけど、もう少し修行しないと危険なのは本当よ? 前回の歴史でも、あなたは何度も危険だったわ… 平安京に行った時はアシュ様と戦ってるし、南米にアシュ様の逮捕に来た神魔のチームにもあなたは居たわ…。 両方共、紙一重であなたは死んでたわ」

ルシオラは真面目な表情で、ヒャクメに事実を説明した
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