真の歴史へ

「可愛いクワガタですね~」

おキヌは笑顔で見ていた

「で…、発明は何処だ?」

雪之丞は冗談だと思ったらしくルシオラに聞いた


「ウフフ… これが私の新しい発明よ! その名も、隠密移動要塞『鬼天号』よ!!」

ルシオラは嬉しそうに言い切った


「ようさいって何ですか?」

おキヌは不思議そうに愛子に聞いた


「要塞って城とか基地じゃなかったかしら… 移動要塞は知らないけど…」

愛子もよくわからないようだ


「あの… ルシオラ… それはマズいんじゃないか?」

横島は困ったようにルシオラに話した


小竜姫は隣で頷いていた


タマモは逆天号を名前しか知らない

実物がこんなに小さいとは思わず驚いていた


「甘いわ! ヨコシマ! 鬼天号は逆天号とは違うのよ!! より隠密性を高めた兵鬼よ! これにより長距離移動は元より、移動先での基地にもなるわ!」


ルシオラは自信に満ちた表情で語った


「要は人にバレないようにしたのか… だけどな~ 危険じゃないか?」

横島と小竜姫は断末魔砲のイメージが消えなかった…


「ああ、攻撃力は無いわよ。 その代わり、防御力は上がってるわ!」

ルシオラは言い忘れたように手をポンと叩いて話した



隠密移動要塞、鬼天号…


それは逆天号を元にルシオラが未来で設計した兵鬼だった…


霊力増幅器の根本からの再設計

それに逆天号を運用した結果から得られたデータを元に、ルシオラが長年開発していた兵鬼なのだ


ただ、逆天号はアシュタロスの魔力を原動力に動いていた


当時のアシュタロスは冥界のチャンネル封鎖により、本来の力のほとんどを使って、その残りの魔力で逆天号を動かしていたのだ


それでも、その時のアシュタロスの魔力は上級神魔以上は軽くあった…


ルシオラはその魔力を普段の自分達が出すのは難しい為、鬼天号を設計する際に使用目的を限定した

断末魔砲を初めとした攻撃兵装を無くして、防御力と隠密性を増やした


具体的には完璧な霊波迷彩をほどこしたのだ…


そうして、消費霊力を減らして

新しくした霊力増幅器でなんとか実用化にこぎつけていた


最も…

未来でのように自分達の封印を解いて、同期合体すればいいのだが…


あの力は危険過ぎる為、考えに入れてない



そしてこの鬼天号が、ルシオラの切り札の一つなのだ…


今後の、対アシュタロス一派との戦い…


そして、世界の破滅を阻止する為の……


この鬼天号は、本来は未来での神魔戦争での運用を目的としていた…


だが、未来では設計まではしていたが開発に時間がかかり、神魔戦争に間に合わなかった兵鬼であった…


ルシオラは過去に来てから、飛行機などに乗ってその危険性に気がついて開発をした


プラドー島や北海道に行った時に思ったのだが、人間の飛行機は乗り心地はともかく…

攻撃を受けたら弱すぎた


メドーサ達に目を付けられて、移動中襲われたら大惨事になる…


その為、切り札として開発したのだった……


難しい顔で考え込む横島と小竜姫


タマモと雪之丞と愛子とおキヌは不思議そうに見ていた


「とりあえず、外でちゃんとみせるわね…」

ルシオラに連れられて、横島達は外に出た

いつも修行をする広い場所でルシオラを見ている…


「さあ、鬼天号… 本来の姿に戻りなさい…」

ルシオラはむしから、鬼天号を放した


グオオオーン!!


鬼天号は叫びと共にどんどん巨大化した……


現れたのは逆天号と同じ大きさの鬼天号だった

ただ、逆天号がカブトムシだったのが

鬼天号はクワガタになっていた…


「すげー」

雪之丞は言葉少なく見上げていた


「おっきなクワガタさんですね~」

おキヌはまだクワガタだと思っている


「やっぱり横島君達って…… 普通じゃないわね……」

愛子には理解出来なかった

84/100ページ
スキ