真の歴史へ

「報告書では、死津藻比女はかつての令子ですら1対1で戦えなかったはず…」

美智恵は戦いから目を離さずに呟いていた…

「それにしても、伊達雪之丞君も随分腕をあげてるわ… 単純な戦闘だったら、人間では最強クラスね…」

美智恵は少し羨ましそうな表情だった

あの戦闘力は、ぜひGメンに欲しかった…

「まあ、小竜姫様が直接指導してるんでしょうからね… 贅沢な環境よね」

美智恵はそう呟いて、横島を見た


「やはりかなりの実力ね… 文珠を使ってる様子も無いし、まだまだ余力がありそうだわ…」

美智恵はため息しか出なかった

正直、日本で最強のメンバーだろうから…


美智恵は次にルシオラを見ていた

「ルシオラさんの銃は何かしらね… 銀の銃弾は死津藻比女には効かないはずだし…」

美智恵は未来でのルシオラを思い出していた

そう言えば、彼女の専門は技術者だったはず…

あの技術の一部でもあれば…


そう考えて次はタマモを見た

「彼女は冷静ね… 戦場全体をよく見てるわ。 金毛白面九尾だもんね… 実力が高いのは当然だけど、あの知恵も曲者ね…」

美智恵はタマモのその実力より、戦場全体を見渡している戦術に感心していた


そして最後に小竜姫を見た

「小竜姫様は、随分実戦慣れしてるわね… 実力の割には甘さやプライドで、実戦には弱い部分があったはずなんだけど……」


美智恵は遠くて細かい剣術まで見えなかったが…

動きなどから、予想より実戦慣れしていると判断した


「みんなすごいわ… 何よりもバランスがいい… 自分の実力を理解して、チームとして戦ってるわ…」

美智恵は見に来て良かったと思っていた

かなりの収穫があった…

実際の実力は、全力をだしてないようで詳しくわからなかったが…

それ以上に、戦い方が素晴らしかった…

「令子……、あなたは私が守るわ…。 どんな手段を使っても…」

美智恵はそう呟いて、すでに頭の中では今後の対策を考えていた…



その頃令子は…


仕事をさぼってお金を数えていた…

「死んだはずだったママが、突然帰って来たのは嬉しいんだけど… なんで死んだふりしたのか理由は言わないし、細かいとこうるさいのよね~」

美智恵が居ないので、自分の事務所で西条を相手に愚痴った

「令子ちゃん… 先生も事情があるんだと思うよ。 それより… そんなにお金が好きなのかい…?」

西条は仕事をさぼってまで嬉しそうにお金を数えてる令子を見て、少し顔が引きつっていた


「ママに無理矢理Gメンに入れられたんだもん! 本当はGSに戻ってお金稼ぎたいのよ!」

令子はたまにお金を数えて、荒稼ぎ出来ないストレスを紛らわしていたが…

かなりストレスが溜まってるようだった……


「令子ちゃん… 変わったね……」

西条は昔の令子を思い出していた…


そして、お金を握りしめて欲望丸出しの顔で話していた令子を見て、しみじみ呟いた


「西条さん、何か言った?」

令子は少し睨むように西条を見た


「いや… 何も言ってないよ。 先生はどこに行ったんだろうね~」

西条は冷や汗をかいて話をごまかして、外を見た


令子はそんな西条を少し睨んでいたが…

それ以上は我慢した


「そう言えば… 横島君はどんな人物だい? 先生が随分気にかけていたが…」

西条はふと思い出して令子に聞いた


美智恵は横島を監視していることなど、西条には話してない

だが、初めて会った時はわざわざ事務所を訪ねた

小竜姫が後ろ盾に居る理由なども知らないし…

そんな横島が気になっていた


令子は横島を思い出していたが…

特には知らなかった


「どんなって言われても… 個人的な話はしないし… でも、彼女は数人いるわよ。 小竜姫様も彼女の一人みたいだし… それに… ルシオラさんは魔族みたいだし…」


令子は少し考えながら話した


「ほう~ 彼女が数人か~ なかなかやるな… しかも、小竜姫様は彼女だったのか… それにルシオラさんは魔族か…」

西条は不思議そうな顔で呟いた


西条自身、小竜姫やルシオラやタマモは一回見たことがあった…

前に美智恵の変わりに横島の事務所を訪れた時見ていた


だが、ルシオラが魔族だとはわからなかったし…

小竜姫が彼女だとは気がつかなかった

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