真の歴史へ

その頃、横島達の元には死津藻比女が現れていた


その数は40~50体はいるようだった…


死津藻比女は横島達を囲むようにして、逃げられないようにした


死津藻比女が一番恐れたのは、横島達が逃げることだ…


このまま山ごと封じ込めて、逃げられると死津藻比女に対抗する手段は無かった…


自分の力に自信のある死津藻比女は、横島達が自分を倒せるとは思っても無かった…

まして、本体は地中深くである

普通に考えて、攻撃されるはずはない…

そう考えていた


「これだけ囲めば逃げれまい… 今度はさっきのようにはいかないぞ! 圧倒的数で皆殺しにしてくれる!!」

死津藻比女は勝ちを確信したように笑みを浮かべた


横島もルシオラも小竜姫もタマモも、そんな死津藻比女を普通に見ていた


横島達が怯えないのに、死津藻比女は怒りを感じた


「まさか逃げれると思っておるのか?」

死津藻比女は不愉快そうに横島達に言った


「逃げないさ… 俺達はお前を退治に来たのだからな。 300年… 一人で孤独の中にいたおキヌちゃんと… そして、おキヌちゃんを人身御供にするしかなかった、姫や道師達の為にも… お前には滅んでもらう!」

横島は死津藻比女を睨んだ


小竜姫はすでに神剣を構えていて、タマモは狐火を手のひらに作っていた

そしてルシオラはその手にマシンガンのような銃を構えていて、雪之丞は魔装術を展開して今にも飛び出しそうだった…


「お前ら… 死ね!!」


死津藻比女は一斉に横島達に襲いかかる!


瞬時に動いたのはタマモだった

タマモは狐火を死津藻比女が固まる中に投げた

ボアッー!!

それほど威力は高くない狐火だったが、広範囲に炎が広がった

それが炎が苦手な死津藻比女には効果的だった…


死津藻比女の動きが止まったと同時に、横島と小竜姫が斬り込んだ

霊波刀と神剣で、炎でダメージを受けた死津藻比女を片っ端から斬り捨てて行く…


一方反対側はルシオラが攻撃していた


その手に持ったマシンガンで死津藻比女を無差別に撃って行く…


ダダダダダ…


「たかが銃でわしを退治出来ると思ってるのか……」

死津藻比女は銃を撃っているルシオラを、馬鹿にしたような口調で話していたが…

撃たれた死津藻比女は、撃たれた箇所から消滅して行った…


「貴様! 何をした!」

死津藻比女は撃たれた花を切り離してルシオラを睨んだ


ルシオラは死津藻比女に微笑んでいた


「どうかしら… 霊体破壊弾の威力は? まだ試験段階だけど、霊体ゲノムを破壊する特殊弾よ」


ルシオラは銃を構えて死津藻に話していた

ルシオラが使った特殊弾はかつて、アシュタロスがルシオラ達姉妹に使った物をルシオラが改良した物だった…

あれは監視ウイルスなど複雑なシステムだったが…

ルシオラはそれから霊体ゲノムを破壊するウイルスだけを特殊弾に込めていた


「おっかねぇ物作るな…」

雪之丞は少しだけ死津藻比女に同情した

「フフフ… 効果はまあまあね… まだ改良の余地があるわ」

ルシオラは死津藻比女の反応を見ていろいろ考えているようだった


「見てる場合じゃねえな… 俺もいくぜ!」

雪之丞は飛び出すと、死津藻比女に接近戦を挑んでいった


「全く… バトルジャンキーなんだから…」

ルシオラは苦笑いしながら、雪之丞の援護にまわる


マシンガンを一発ずつに変えて、雪之丞が囲まれないように撃っていた


大量に居た死津藻比女は次々に倒されていく…

タマモは途中で狐火を圧縮して一体ずつ燃やしていた


接近戦で戦う横島、小竜姫、雪之丞

それを遠距離から援護しているタマモとルシオラ

そのコンビネーションは見事だった


横島達は未来での経験で少数で大群と戦うのに慣れているからだが…


それを知らない者が見たら圧倒的だった……


そう…

美神美智恵が結界ギリギリの山からその戦いを双眼鏡で見ていた


「死津藻比女は50体はいるわ… よくあの数を相手に戦えるわね…」


美智恵は驚きをもって見ていた

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