真の歴史へ

横島は念話でルシオラに話しかける

(ルシオラ、 雪之丞とピートの試合で横槍が入るかもしれない… 勘九朗と黒岩を見張ってくれ。 奴らが何かしたら、撃ち落として阻止してくれ。 メドーサはこちらで抑える)

(わかったわ。 ヨコシマも気をつけてね)

ルシオラの返事を聞くと、横島は今度はタマモに念話で話す

(タマモはおキヌちゃんと観客を頼む。 万が一奴らが暴れても観客を巻き込まないようにな…)

(ええ、任せて。 こっちは大丈夫よ)


会話が終わると横島と小竜姫は微笑んだ

今の会話は小竜姫も聞いていた

これで、試合の妨害は阻止出来るし、おキヌや観客の安心も考えていた


メドーサは知らないところで追いつめられていた…



横島はふと、怒りに燃えているメドーサを見て、話しかけた

「なあ、メドーサ… お前、神族やら魔族やらにこだわるの止めないか? どっかでゆっくり生きていく気はないか?」

横島の突然の話にメドーサは驚きの表情になる…


(こいつ… いったい、なんのつもりだ?)

さすがのメドーサも横島の真意を計りかねていた


横島は深い意味などなく…

素直に話していた


メドーサは所詮利用されてるだけだ…

そんなメドーサに少なからず同情していた


「随分な言い方だね… そう言うのは勝ってから言うもんだよ」

メドーサは横島の言葉を本気にしなかった…


小竜姫と共にいる人間の言葉

信じろと言う方が無理である…


「そうか…」


横島は言葉少なく返した

答えはわかってはいたが、残念だった


小竜姫はそんな横島を見て微笑んでいた…

小竜姫にとってもメドーサは宿敵だ


だが…

今の小竜姫は神魔族の争いにこだわるつもりはない


敵も味方も命は命…

横島なら、救えるなら救いたいと願うのを理解していた


そしてそんな横島が好きだった…



試合はいよいよ白龍会の人間と雪之丞、ピートの戦いに突入しようとしていた


初めは、ピート対黒岩


両者は結界内に入り、今試合を開始しようとしていた…


「試合開始!」


審判が声をあげると両者距離をおき、戦いを始める


「ダンピールフラッシュ!」

まずはピートが先制した


「無駄だ!」

黒岩はよけて、ピートに霊波砲を放つ


「バンパイアミスト!」

ピートは霧になってかわした


「バンパイアハーフか…」

黒岩は少し顔色が変わった


それから、両者霊波砲を打ち合う


だが、実力が拮抗して決着がつかない


横島達は黒岩の予想以上の実力に驚いていた


(あいつ… なんかおかしいぞ? 魔装術を使わないであれだけの力を使えるとは…)

横島は念話で話しかけた

今のピートは逆行前の試験よりは格段にレベルアップしていた…

勘九朗が相手でも互角以上は戦えるはずである


(魔装術抜きで勘九朗と同レベルとは…)

小竜姫も驚きを隠せなかった


(横島、あいつ霊波がおかしいわ… 微量だけど、なんか混じってる気がする)

黒岩の予想外の強さに驚く横島と小竜姫に、タマモの声が響いた

(どういうことだ?)

横島が問いかけた


(本当に微量で、戦闘まで気が付かなかったけど… 純粋な人間じゃないかも…)

タマモも確信は無かった

霊波はほとんど人間だが…

微妙に違うのだ…

(ヨコシマ、先祖に魔族か妖怪がいたんじゃないの? ごくまれに、先祖に人外がいれば突然強い人間が生まれるわよ?)


考えこむ横島達にルシオラが推測したことを告げる

(本当か? メドーサのやつ、どこから見つけて来たんだ?)


(わかりませんが、油断出来ませんね。)

小竜姫がそう話して、横島達は試合を見つめる


メドーサは相変わらずイライラした様子で試合を見ていた



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