真の歴史へ

横島が会場に戻ると二回戦が始まっていた

「おっ始まってるな~ 誰か知り合いは戦ったか?」

横島はタマモに聞いた

「ええ、ピートが一番に戦って相手を一撃で倒してたわ」

タマモは少し考え込む横島を見たが、その場は聞かなかった


そうして横島達はそのまま試合を見ていた


しばらくして雪之丞の二回戦が始まる


相手は九野市氷雅

過去に横島が戦った相手だった…


「試合開始!!」

審判が声を上げると雪之丞は構えて

九野市は意味ありげな微笑みで、雪之丞を見つめる

(横島? あの相手… あなたが戦った相手じゃなかった?)

タマモは念話で横島に聞いた

先日ヒャクメとジークに横島達の過去を見せた際に、見た文珠で横島と戦っていたのは彼女だと気がついた

(ああ、俺が二回戦で戦った相手だよ。 霊刀を持っていて、忍術を使う相手なはずだったと思う)

横島は思い出しながら念話で話した


(なるほど… 昔の横島が好きそうな相手ね…)

タマモは少し冷たい目で横島を見た

う゛… そんな昔のことを持ち出さんでも…)


顔色は変えないが、困っていた横島だった…



試合は九能市が霊刀で雪之丞に攻撃していく

雪之丞は九能市の太刀を素早い動きでかわしていた

「なかなかやりますわね。 私の太刀を全てかわすとは…」

九能市は少し驚き雪之丞に話しかけた

「近くに剣術の達人がいるからな。 その程度の太刀をかわすのは慣れてるよ」

雪之丞はニヤリとして言った

「言いましたわね! 忍びの奥深さを教えてあげますわ!!」

九能市は雪之丞の言葉に、怒りの表情を見せて挑発に乗ってしまった…

九能市は霊刀で雪之丞に攻撃していたが…

自ら霊刀を捨てて格闘を挑んだ

しかし、少しの怒りにより九能市の動きは微妙に大きくなっていた


「まだまだだな…」

雪之丞はそう呟いて急にスピードを早めた

「おらっ!!」

雪之丞の拳が九能市の腹に入っていた…

「さっ…きまで…のは様子見…だったのですね…」

九能市はそう話して…

倒れ込んだ…



「勝者伊達!」

審判が雪之丞の勝ちを告げて試合は終わった


「雪之丞も成長したな~」


横島は満足そうに話した

「あれがオタクの新人なワケ? 強いなんてもんじゃないわよ?」

エミは驚いて見ていた

「素手で霊的格闘に限定すれば、人間ではトップクラスですよ」

横島はエミを見て話した

「まあまあね。 相手を自分のペースに引き込んだのは成長したけど、もう少し手加減が必要よ」


タマモは雪之丞の戦いを評価はしていたが、注文をつけるのを忘れていなかった

「あんな奴どこで見つけたの? GS試験に限れば私も勝てないワケ…」

エミは呆れたように横島に聞いた

エミ自身は直接戦闘をするタイプではない

攻撃は遠距離主体なのだ

その為、限られた場所とアイテムで戦うのでは力を発揮出来なかった…


「少し前に街中で勝負を挑まれましてね… 負けたら弟子入り志願して来たんですよ」

横島は苦笑いしてエミに説明した


「今どきそんな奴いるのね… まるで昔の侍だわ… でも、実際の除霊はどうするの? 素手で悪霊や妖怪と戦うの?」

エミは不思議そうに横島に聞いた


「さすがエミさんですね~ 雪之丞の弱点に気が付くとは…」

横島は感心したように言った


「いくら格闘が強くて霊力が高くても、人間が悪霊や妖怪と格闘するのは危険なワケ…」

エミは当たり前だと言わんばかりの表情で話した

横島はニヤリとしてエミを見た

「その辺は考えてますよ。 あいつにぴったりの術を教えてます」

「へ~ 何をするのか楽しみなワケ…」

エミは考えながら話した


「まあ、決勝までには見れるでしょう」

横島は自信を持って話した


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