平和な日常~冬~2
その後横島は木乃香達とスイーツ作りに出掛けると、タマモはさよから明日菜に預けられて女子寮に来ていた。
「ほてるみたいなおうちだね。 よこしまとさよちゃんとごはんたべたホテルみたい!」
女子寮の付近に来るのは初めてではないが中に入るのは当然初めてであるタマモは、大きな建物と広いロビーに以前東京に行った時に横島達と食事に行ったホテルを思い出す。
木乃香達が親元を離れてみんなで暮らしてることはすでに知っているタマモだが、学校の仕組みや寮については実はよく理解してない。
「そういえば来るの初めてだっけ?」
「うん!」
初めての寮はタマモにとっては本当に新鮮なようで、興味津々な様子でキョロキョロと見回してはすれ違う少女達と挨拶を交わす。
流石に店から近いだけに明日菜達の住む女子寮には店の常連の少女達が多く、タマモが友達になった少女達ばかりなのである。
「ここがあすなちゃんのおへや?」
「そうよ、木乃香と同室なんだけどね」
「わたしもさよちゃんといっしょのへやだよ。 おんなじだね」
寮の入口から明日菜の部屋まで行くだけで少女達十人ほどと挨拶を交わしたタマモは案内されるままに明日菜の部屋に入るが、横島の家やエヴァの家ともまた違う女子寮の部屋にタマモはやはり興味津々だった。
しかも部屋には明日菜だけではなく木乃香の匂いも多く感じられタマモは少し不思議そうに明日菜の部屋なのかと尋ねるが、木乃香と同室だと聞くと自分とさよの部屋と同じなのだと喜ぶ。
「お昼までまだ早いのよね。 どうしよっか」
一方タマモを預かった明日菜はとりあえず暖かい紅茶を出すが、お昼までまだ早く一時間半近く暇な時間がありどうするか悩み始めた。
タマモとの関係は良好な明日菜だが、相変わらず子供全般は嫌いというか苦手な部類に入る。
ぶっちゃけどうやって時間を潰したらいいか分からない。
店に居る時は絵本を読んで聞かせたり一緒にトランプやボードゲームで遊んだりとするが、明日菜達の部屋にはそんな物あるはずがない。
ただタマモ本人は別に暇そうにしてる訳ではなく、キョロキョロと好奇心は見せるが大人しかった。
もちろん勝手に物に触るとかするはずもなくきちんと座っている。
「なんかやりたいことある?」
「おはなししたい!」
結局明日菜は考えるのが面倒になりタマモにやりたいことを聞くが、タマモは明日菜と話をしたいと即答した。
明日菜はタマモが暇を持て余さないか不安だったが、タマモは明日菜と話が出来ればそれでいいらしい。
「そうね。 じゃあ横島さんが麻帆良に来た頃の話でもしよっか」
相変わらず変わった子供だなと思った明日菜は、少し笑いながらもタマモが好きそうな話をすることにした。
以前から麻帆良祭などのタマモが知らない話に興味津々だっただけに、恐らくまだ聞いたことがないだろう麻帆良に来たばかりの横島のことをゆっくりと話すことにする。
「私が初めて横島さんに会ったのは……」
真剣な面持ちで見つめ相槌を打つように頷くタマモに、明日菜は僅か一年にも満たない過去を振り返るように語り始める。
思えば木乃香に新しい占い師を見つけたと声をかけられたのが明日菜にとっての始まりだった。
それが今はこうして子供の相手をしてるのだから、人の人生なんて分からないものだなと明日菜はシミジミと思う。
「ほてるみたいなおうちだね。 よこしまとさよちゃんとごはんたべたホテルみたい!」
女子寮の付近に来るのは初めてではないが中に入るのは当然初めてであるタマモは、大きな建物と広いロビーに以前東京に行った時に横島達と食事に行ったホテルを思い出す。
木乃香達が親元を離れてみんなで暮らしてることはすでに知っているタマモだが、学校の仕組みや寮については実はよく理解してない。
「そういえば来るの初めてだっけ?」
「うん!」
初めての寮はタマモにとっては本当に新鮮なようで、興味津々な様子でキョロキョロと見回してはすれ違う少女達と挨拶を交わす。
流石に店から近いだけに明日菜達の住む女子寮には店の常連の少女達が多く、タマモが友達になった少女達ばかりなのである。
「ここがあすなちゃんのおへや?」
「そうよ、木乃香と同室なんだけどね」
「わたしもさよちゃんといっしょのへやだよ。 おんなじだね」
寮の入口から明日菜の部屋まで行くだけで少女達十人ほどと挨拶を交わしたタマモは案内されるままに明日菜の部屋に入るが、横島の家やエヴァの家ともまた違う女子寮の部屋にタマモはやはり興味津々だった。
しかも部屋には明日菜だけではなく木乃香の匂いも多く感じられタマモは少し不思議そうに明日菜の部屋なのかと尋ねるが、木乃香と同室だと聞くと自分とさよの部屋と同じなのだと喜ぶ。
「お昼までまだ早いのよね。 どうしよっか」
一方タマモを預かった明日菜はとりあえず暖かい紅茶を出すが、お昼までまだ早く一時間半近く暇な時間がありどうするか悩み始めた。
タマモとの関係は良好な明日菜だが、相変わらず子供全般は嫌いというか苦手な部類に入る。
ぶっちゃけどうやって時間を潰したらいいか分からない。
店に居る時は絵本を読んで聞かせたり一緒にトランプやボードゲームで遊んだりとするが、明日菜達の部屋にはそんな物あるはずがない。
ただタマモ本人は別に暇そうにしてる訳ではなく、キョロキョロと好奇心は見せるが大人しかった。
もちろん勝手に物に触るとかするはずもなくきちんと座っている。
「なんかやりたいことある?」
「おはなししたい!」
結局明日菜は考えるのが面倒になりタマモにやりたいことを聞くが、タマモは明日菜と話をしたいと即答した。
明日菜はタマモが暇を持て余さないか不安だったが、タマモは明日菜と話が出来ればそれでいいらしい。
「そうね。 じゃあ横島さんが麻帆良に来た頃の話でもしよっか」
相変わらず変わった子供だなと思った明日菜は、少し笑いながらもタマモが好きそうな話をすることにした。
以前から麻帆良祭などのタマモが知らない話に興味津々だっただけに、恐らくまだ聞いたことがないだろう麻帆良に来たばかりの横島のことをゆっくりと話すことにする。
「私が初めて横島さんに会ったのは……」
真剣な面持ちで見つめ相槌を打つように頷くタマモに、明日菜は僅か一年にも満たない過去を振り返るように語り始める。
思えば木乃香に新しい占い師を見つけたと声をかけられたのが明日菜にとっての始まりだった。
それが今はこうして子供の相手をしてるのだから、人の人生なんて分からないものだなと明日菜はシミジミと思う。