平和な日常~冬~2
猫達に囲まれたタマモはチャチャゼロを刹那と同じベンチに座らせると自分も刹那の隣に座る。
タマモの周りでは猫達がそれぞれ自由に寛ぎ休憩をするが、刹那は相変わらず返事を出来ぬまま固まっていた。
実は先程から少し前に鶴子に教えられた木乃香へ魔法の存在を教えることについて考えていて、周囲に気を配ってなかったのだ。
そもそも現在居る公園は横島の店や女子寮からは近いが、位置的に女子寮の人間はあまり来ない住宅街の一角にある小さな公園でまさか顔見知りに会うとは思わなかったらしい。
「はい、あげる」
そんな戸惑う刹那にタマモは訳を聞く訳でもなく、この日の持参したおやつを何故か刹那にも分けてチャチャゼロと三人並んで食べることになる。
流石にチャチャゼロは空気を読んでか無言のままだが、タマモはあまり気にする様子もなくいつものようにチャチャゼロにもおやつを食べさせていく。
少し肌寒い冬の公園で猫達を見ながらおやつを食べるのはシュールな光景だが、刹那は手渡されたおやつを要らないとも言ないので食べるしかなかった。
もぐもぐとおやつを食べるタマモとチャチャゼロを横目で見る刹那は、改めて変わった子供だと感じる。
妖怪らしさはカケラもないが、かと言って普通の子供とも言い難い。
元々横島やタマモに限らず木乃香の親しい人物は避けている刹那だが、妖怪でありながら何の蟠りもなく周囲と仲良くするタマモには少し興味はあった。
ただ口下手な刹那では幼いタマモに何を話していいかも分からないし、かといって逃げるように立ち去ることも流石に傷付けるかと思うと出来なかった。
「バイバイ、またいっしょにおやつたべようね」
結局刹那はタマモに何も言えぬまま時間だけが過ぎていくが、タマモはおやつを食べ終えると再びチャチャゼロを抱えて猫達と散歩に戻っていく。
「おやつ、ありがとうございます」
「うん、またね!」
最後まで笑顔で話し掛けるタマモに、刹那は別れ際になりようやくおやつのお礼を言うことで返事を返すことが出来る。
そんな刹那にタマモは嬉しそうな表情を見せると、『またね』と約束して離れて行った。
「アノ女ハ半妖ダナ」
「はんようってなに?」
「妖怪ト人間ノ間に生マレタ子ッテコトダヨ」
刹那から離れるとずっと無言だったチャチャゼロがようやく口を開くが、どうやら刹那の正体に気付いたらしくなんとなくタマモにも教える。
半妖という意味は理解出来なかったタマモだが、妖怪と人間の子だと言われると理解出来た。
「あのひとはこのかちゃんのともだちなんだよ。 わたしもともだちになりたいな」
「オ前ナライイカモナ。 半妖ッテノハ正体ハ苦労シテルコトガ多イカラナ」
タマモは以前麻帆良祭のアルバムを見せて貰った時に、木乃香がちらりと刹那を昔からの友達だと寂しそうに言っていたことを覚えている。
ただ何故刹那が木乃香の周りに来るのに、いつも隠れてるかはまで分からなかった。
自分が刹那と友達になればきっと木乃香も喜ぶし、木乃香と刹那もまた一緒に遊べるかもしれないと考えたタマモは刹那と友達になりたいと口にするが、チャチャゼロは刹那の様子から訳ありであることを見抜いていながらもタマモならば友達になれるかもしれないと告げる。
「またねか……」
一方タマモ達を見送っていた刹那は、挨拶のように『またね』と語ったタマモの言葉が胸の奥に響いていた。
その笑顔も言葉も何処か幼い頃の木乃香に似ている気がしてしまう。
かつて木乃香もまた刹那と遊んだ後は必ず『またね』と言って別れたのだ。
タマモの言葉が胸の奥に響くたびに避けるようになってからの悲しそうな木乃香の表情も受かんで来て胸が苦しくなる刹那は、魔法を知った木乃香とどう向き合うべきか再び悩み始めることになる。
タマモの周りでは猫達がそれぞれ自由に寛ぎ休憩をするが、刹那は相変わらず返事を出来ぬまま固まっていた。
実は先程から少し前に鶴子に教えられた木乃香へ魔法の存在を教えることについて考えていて、周囲に気を配ってなかったのだ。
そもそも現在居る公園は横島の店や女子寮からは近いが、位置的に女子寮の人間はあまり来ない住宅街の一角にある小さな公園でまさか顔見知りに会うとは思わなかったらしい。
「はい、あげる」
そんな戸惑う刹那にタマモは訳を聞く訳でもなく、この日の持参したおやつを何故か刹那にも分けてチャチャゼロと三人並んで食べることになる。
流石にチャチャゼロは空気を読んでか無言のままだが、タマモはあまり気にする様子もなくいつものようにチャチャゼロにもおやつを食べさせていく。
少し肌寒い冬の公園で猫達を見ながらおやつを食べるのはシュールな光景だが、刹那は手渡されたおやつを要らないとも言ないので食べるしかなかった。
もぐもぐとおやつを食べるタマモとチャチャゼロを横目で見る刹那は、改めて変わった子供だと感じる。
妖怪らしさはカケラもないが、かと言って普通の子供とも言い難い。
元々横島やタマモに限らず木乃香の親しい人物は避けている刹那だが、妖怪でありながら何の蟠りもなく周囲と仲良くするタマモには少し興味はあった。
ただ口下手な刹那では幼いタマモに何を話していいかも分からないし、かといって逃げるように立ち去ることも流石に傷付けるかと思うと出来なかった。
「バイバイ、またいっしょにおやつたべようね」
結局刹那はタマモに何も言えぬまま時間だけが過ぎていくが、タマモはおやつを食べ終えると再びチャチャゼロを抱えて猫達と散歩に戻っていく。
「おやつ、ありがとうございます」
「うん、またね!」
最後まで笑顔で話し掛けるタマモに、刹那は別れ際になりようやくおやつのお礼を言うことで返事を返すことが出来る。
そんな刹那にタマモは嬉しそうな表情を見せると、『またね』と約束して離れて行った。
「アノ女ハ半妖ダナ」
「はんようってなに?」
「妖怪ト人間ノ間に生マレタ子ッテコトダヨ」
刹那から離れるとずっと無言だったチャチャゼロがようやく口を開くが、どうやら刹那の正体に気付いたらしくなんとなくタマモにも教える。
半妖という意味は理解出来なかったタマモだが、妖怪と人間の子だと言われると理解出来た。
「あのひとはこのかちゃんのともだちなんだよ。 わたしもともだちになりたいな」
「オ前ナライイカモナ。 半妖ッテノハ正体ハ苦労シテルコトガ多イカラナ」
タマモは以前麻帆良祭のアルバムを見せて貰った時に、木乃香がちらりと刹那を昔からの友達だと寂しそうに言っていたことを覚えている。
ただ何故刹那が木乃香の周りに来るのに、いつも隠れてるかはまで分からなかった。
自分が刹那と友達になればきっと木乃香も喜ぶし、木乃香と刹那もまた一緒に遊べるかもしれないと考えたタマモは刹那と友達になりたいと口にするが、チャチャゼロは刹那の様子から訳ありであることを見抜いていながらもタマモならば友達になれるかもしれないと告げる。
「またねか……」
一方タマモ達を見送っていた刹那は、挨拶のように『またね』と語ったタマモの言葉が胸の奥に響いていた。
その笑顔も言葉も何処か幼い頃の木乃香に似ている気がしてしまう。
かつて木乃香もまた刹那と遊んだ後は必ず『またね』と言って別れたのだ。
タマモの言葉が胸の奥に響くたびに避けるようになってからの悲しそうな木乃香の表情も受かんで来て胸が苦しくなる刹那は、魔法を知った木乃香とどう向き合うべきか再び悩み始めることになる。