若干重苦しい雰囲気の中で淡々と話は続くが、タマモは無言のまま静かにお茶を飲んでいた。

一応話は聞いているが当然ながら理解出来ないるはずもなく、そもそもタマモは理解しようとすら思ってない。

ただ微妙な空気は感じてるようで、近右衛門や穂乃香とエヴァをもう少し仲良く出来ないかなとは考えているが。

エヴァの解放は麻帆良の将来や混乱気味の魔法世界に影響を与える可能性があるほどの重大な事だが、そんな事情を全く知らないタマモは友達同士はみんな仲良くなって欲しいとしか考えてなかった。

そして何も理解してないタマモが見守る中、三人目を横島に頼もうということが決まることになる。



「おとなはたいへんだね」

その後タマモはいつも通りに猫達とチャチャゼロと散歩に行くが、タマモが理解したのは大人は大変だということだけであった。

みんな仲良く出来ればいいと考えるタマモも、それが簡単でないことくらいは何となく理解している。

タマモ自身は友達がすでに百人を軽く越えているが、そんなタマモでも友達になれてない人もたくさん居るのだから。


「ゴ主人様モ最近丸クナッタンダヨ」

一方チャチャゼロは大人は大変だと語るタマモの言葉を違うの意味で受け取っていた。

タマモはエヴァと近右衛門の関係が良くないと感じたが、元々近右衛門とエヴァの関係は決して良好とは言えなかったので先程なんかはまだ良くなった方だったりする。

そもそも毎日のように遊びに来るタマモの相手をしてる時点でエヴァは丸くなったのだが、タマモにはそこまで理解出来るはずはなかった。


「あれ？」

そのまま相変わらず微妙に噛み合わない会話をしながら散歩を続けるタマモ達であったが、今度は近所の公園のベンチに一人で座る刹那を発見する。

友達が多いタマモだけに散歩中に誰かに会うのは決して珍しくはないが、近右衛門同様に刹那もタマモは会うことがほとんどない。

まあ近右衛門は忙しいから会わないのだが、刹那はタマモを避けてるので会う機会がなかったのだ。

しかし今日の刹那は何かを悩むように公園のベンチで一人空を見上げていた。


「こんにちは！」

タマモ達に気付く様子すらない刹那にタマモは近寄ると、当然のように元気よく挨拶をする。

タマモ的には刹那に避けてるとは思ってなく、なかなか会えない人に会ったから挨拶しようとしただけだったが。


「あっ……」

そんな周りに気付かぬほど考え事をしていた刹那は、気がつくと目の前に居たタマモに驚き言葉が出なかった。

刹那自身は２－Ａのクラスメート達が横島の店でパーティーをした時に会った記憶はあるが、話をした経験はもちろんない。


「えんそくのおみやげありがとう。　ずっとおれいいいたかったの」

何故自分に声をかけて来たのか不思議に思う刹那だったが、タマモは木乃香達の遠足の時にお土産をくれた人物に刹那が居たことを覚えている。

実はタマモは２－Ａの少女達に会うと必ずお礼を言っていたが、絶対に店に近寄らない刹那だけがお礼を言ってなかったのだ。