平和な日常~冬~2
その後茶道部を後にした横島とタマモは再び集まって来た少女達に引っ張られるように、女子中等部の部活を見学していくことになってしまう。
特にタマモがキョロキョロと興味津々だったことから、見学していきなよと誘われてしまったのだ。
「そういえばマスターは学生時代に何の部活に入ってたの?」
「俺は小さい頃から両親と一緒に海外を転々としてたからなぁ。 まともな部活には入ってなかったよ」
さよは茶道部に残り木乃香は占い研究会に顔を出すからと別れたが、夕映は心配だったのか横島達と一緒に着いて来ている。
タマモはいつの間にか中等部の少女達に囲まれて楽しんでいるが、横島の周りにも何人かの少女がおり彼女達は横島の学生時代に興味を示していた。
「あれ、野球部じゃないの? 体育祭の時凄かったって聞いたけど……」
「あれはまぐれだって。 正直言うと体育会系って苦手なんだよ」
どうやら体育祭での騒ぎでまた妙な噂が流れてるようだったが、横島は体育祭での活躍はあくまでもまぐれだと言うしかない。
それに横島はかつて関西から東京に来て以降は学校の空気にあまり馴染めなかったこともあり、学校や体育会系の感じは好きではなかったのだ。
「ああ、なんとなく分かる。 うちの学校はそんな理由で転校して来る子も時々居るのよね」
そんな微妙な表情で体育会系が苦手だと告げる横島に、少女達は割と共感する意見が多かった。
実のところ麻帆良学園には既存の公立校に馴染めなかった子供が転校して来るケースが結構多い。
時には日本の教育界では異端とも受け取られる麻帆良学園だが、画一的な教育を基本とする日本の教育に合わない子供の受け皿の一つともなっている。
「私達より麻帆良生らしいもんね」
少し話が逸れるが最近の横島は、何故か麻帆良学園の卒業生だと誤解をされるケースが多かった。
流石に中等部なんかは横島の過去が結構知られているが、他はいつの間にか卒業生のように扱ってることもある。
世間一般から見た横島はお祭り好きで騒ぐのが大好きだと見られてるらしく、いつの間にか麻帆良学園の典型的な卒業生だと誤解されているのだ。
現に周りの少女達にも、横島は麻帆良学園に来てればよかったのにと言われるほどである。
一方夕映はそんな横島を見てふと祖父を思い出していた。
夕映の祖父は哲学者だったが、残念ながら祖父は息子である夕映の父親とは折り合いが悪かった。
単純に仲が悪いということではなく価値観の違いなのだと夕映は思うが、実は夕映に麻帆良学園に入るようにと勧めたのは他でもない祖父である。
哲学者として小さな大学だが講師をしていた祖父は、夕映が小学校に入学する際に夕映には麻帆良学園へ入学をさせたいと父親と対立してしまい、最終的には入学金から学費まで全て祖父が自分で出すと言い張って父親を押し切った過去があった。
当時まだ幼かった夕映は祖父の意図が分からなかったが、今ならば何故祖父が麻帆良学園にこだわったのか理解出来る。
(横島さんも麻帆良学園に来ていれば……)
もし横島が麻帆良学園に来ていれば、いい意味でも悪い意味でもその才能をもっと早く開花させたかもしれないと夕映は改めて思う。
まあ昔の横島を知らないからこそそんなふうに思うのだろうが、実際に横島がこの世界に生まれて小学校から麻帆良学園に入学していれば夕映の想像するような未来だったのかもしれない。
(過去の話はあまり好きではないようですし……)
夕映はもちろんのこと木乃香達や美砂達ですら、横島が過去の話をしたがらないことは理解している。
正直横島は個性が強すぎるし、それが今までは上手くいかない原因だったのだろうと夕映達は考えていた。
そういう意味では麻帆良で育った横島を見てみたいと感じるのは自然なことなのだろう。
特にタマモがキョロキョロと興味津々だったことから、見学していきなよと誘われてしまったのだ。
「そういえばマスターは学生時代に何の部活に入ってたの?」
「俺は小さい頃から両親と一緒に海外を転々としてたからなぁ。 まともな部活には入ってなかったよ」
さよは茶道部に残り木乃香は占い研究会に顔を出すからと別れたが、夕映は心配だったのか横島達と一緒に着いて来ている。
タマモはいつの間にか中等部の少女達に囲まれて楽しんでいるが、横島の周りにも何人かの少女がおり彼女達は横島の学生時代に興味を示していた。
「あれ、野球部じゃないの? 体育祭の時凄かったって聞いたけど……」
「あれはまぐれだって。 正直言うと体育会系って苦手なんだよ」
どうやら体育祭での騒ぎでまた妙な噂が流れてるようだったが、横島は体育祭での活躍はあくまでもまぐれだと言うしかない。
それに横島はかつて関西から東京に来て以降は学校の空気にあまり馴染めなかったこともあり、学校や体育会系の感じは好きではなかったのだ。
「ああ、なんとなく分かる。 うちの学校はそんな理由で転校して来る子も時々居るのよね」
そんな微妙な表情で体育会系が苦手だと告げる横島に、少女達は割と共感する意見が多かった。
実のところ麻帆良学園には既存の公立校に馴染めなかった子供が転校して来るケースが結構多い。
時には日本の教育界では異端とも受け取られる麻帆良学園だが、画一的な教育を基本とする日本の教育に合わない子供の受け皿の一つともなっている。
「私達より麻帆良生らしいもんね」
少し話が逸れるが最近の横島は、何故か麻帆良学園の卒業生だと誤解をされるケースが多かった。
流石に中等部なんかは横島の過去が結構知られているが、他はいつの間にか卒業生のように扱ってることもある。
世間一般から見た横島はお祭り好きで騒ぐのが大好きだと見られてるらしく、いつの間にか麻帆良学園の典型的な卒業生だと誤解されているのだ。
現に周りの少女達にも、横島は麻帆良学園に来てればよかったのにと言われるほどである。
一方夕映はそんな横島を見てふと祖父を思い出していた。
夕映の祖父は哲学者だったが、残念ながら祖父は息子である夕映の父親とは折り合いが悪かった。
単純に仲が悪いということではなく価値観の違いなのだと夕映は思うが、実は夕映に麻帆良学園に入るようにと勧めたのは他でもない祖父である。
哲学者として小さな大学だが講師をしていた祖父は、夕映が小学校に入学する際に夕映には麻帆良学園へ入学をさせたいと父親と対立してしまい、最終的には入学金から学費まで全て祖父が自分で出すと言い張って父親を押し切った過去があった。
当時まだ幼かった夕映は祖父の意図が分からなかったが、今ならば何故祖父が麻帆良学園にこだわったのか理解出来る。
(横島さんも麻帆良学園に来ていれば……)
もし横島が麻帆良学園に来ていれば、いい意味でも悪い意味でもその才能をもっと早く開花させたかもしれないと夕映は改めて思う。
まあ昔の横島を知らないからこそそんなふうに思うのだろうが、実際に横島がこの世界に生まれて小学校から麻帆良学園に入学していれば夕映の想像するような未来だったのかもしれない。
(過去の話はあまり好きではないようですし……)
夕映はもちろんのこと木乃香達や美砂達ですら、横島が過去の話をしたがらないことは理解している。
正直横島は個性が強すぎるし、それが今までは上手くいかない原因だったのだろうと夕映達は考えていた。
そういう意味では麻帆良で育った横島を見てみたいと感じるのは自然なことなのだろう。