平和な日常~春~

エヴァと茶々丸も帰り西の空がオレンジに染まる頃、木乃香・明日菜・夕映・のどかが揃って店に来ていた


「麻帆良祭期間中の情報を集めて来たですよ」

店に来た夕映は前年までの麻帆良祭のパンフレットやガイドブックなどを持参して、他にも期間中の飲食店の営業状況などを纏めた資料を持って来ている

どうやら木乃香達から事情を聞いた夕映とのどかが図書館島や報道部や実行委員会に行き資料を貰って来たらしい


「早いな、俺も一応調べようかとは思ってたんだけど……」

「探検部でお世話になってますし、営業するしないを判断するには情報が必要かと思いまして」

大量の資料を抱えた夕映達を横島は驚きの表情で見つめている

昨日横島は休む事を前提に話をしていたのだが、きちんと考えた結論でないと見抜いた夕映が資料を集めて来たのだ

その機転の速さは横島も感心するほどだった


「結論から言うと休んだ店は過去に前例がいくつかあったようですが、それらの店は他に屋台などを出す事が理由だったようですね」

持って来た資料を夕映達と見ていく横島だったが、やはり麻帆良祭に休む店はほとんどない

数少ない休んだ店は他に屋台やらイベントに参加するのが理由であり、忙しいのが嫌だから休むといった店はもちろんあるはずがなかった

夕映としては横島に営業を強制するつもりはないが、一人だけ休んで後で肩身の狭い思いをするのではと心配している


「そもそもここって、場所的にそんなに人が来ないんじゃないの? 横島さんの場合は激安の限定メニューが問題なんだし」

横島も夕映もみんな忙しくなる事を前提に話を進めているが、明日菜は根本的な理由として店がそれほど混むのかが疑問らしい

張り切って激安メニューなど無理をしなければ大丈夫なのではと考えている


「麻帆良祭期間中の飲食店の売上は、平均で通常の営業の3倍から5倍だそうです。 麻帆良飲食店は毎年合同でスタンプラリーや福引きなどのイベントを多数期間しており、新規のお客さんの開拓にも役立ってるそうです」

明日菜の疑問に答えたのはのどかだった

本屋とあだ名がつくほど本をよく読んでるだけに、彼女は資料を読むペースも早いようだ

個性的なメンバーが多いクラスではあまり目立ってないが、のどかは成績もよく細かな作業などが地味に得意なのである


「合同でイベント? 実行委員会ってとこからなら資料来たけど、それは知らないな」

「飲食店イベント実行委員会があるみたいですから、いずれ案内が来るんじゃないんですか?」

のどかの説明には横島も驚くが、こちらもイベント実行委員会があり活動してるらしい


「いろいろ大変なんだな~ 俺としてはそんなに客は増やさなくていいんだが……」

「普通は参加するものですからね。 休むと変人扱いされるのは確かです」

イマイチ麻帆良祭の営業に積極的になれない横島に、夕映はそんな人は他に居ないと告げる



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