平和な日常~冬~
次の日になると穂乃香は前日に続き関係者への挨拶回りをしていたが、この日は雪広家と那波家との話し合いも予定に入っており相変わらず忙しい。
以前から度々説明してるが、雪広グループと那波グループは関東魔法協会を支える重要な企業である。
加えて近右衛門と盟友である雪広清十郎や那波千鶴子の発言権は、幹部クラス以上にあるのが実情だった。
尤も雪広家も那波家も魔法協会の運営などには基本的に口出ししないスタンスを取っているが、木乃香達の件や近右衛門の負担軽減などを解決には両家との話し合いが必要不可欠である。
穂乃香自身も雪広グループ代表取締役社長でありあやかの父である雪広政樹や、那波グループ代表取締役社長であり千鶴の父である那波衛とは学生時代からの友人であり気心が知れていた。
近右衛門の負担軽減は正直簡単な問題ではないが、近い将来に魔法の存在を知らせる必要があるのはあやかと千鶴も同じだった。
まあ今回の件と一緒に教える必要まではないが、立場的にも状況的にも木乃香とあやか達は近いものがあるので事前に相談は必要だろう。
それに将来の魔法協会がどうなるかは穂乃香にも分からないが、近衛家・雪広家・那波家の三家は魔法協会から完全に外れることは事実上不可能である。
穂乃香や詠春としても木乃香に直接的に魔法協会を継がせるつもりはないが、だからと言って生涯無関係なままでいられるとは思ってない。
現実的な理想としては木乃香が雪広家や那波家のように、影響力をある程度持ちながらも一歩引いた立場になることであった。
というか木乃香は何も知らぬままなら魔法協会から逃げ出せても、魔法協会と自社企業が密接に繋がる雪広家と那波家は抱えるモノの大きさから逃げ出せないのが実情なのだ。
魔法協会の勢力のおかげで政財界の権力から一定の距離を保つ両家にとって、それを失うことは根本的な戦略を喪失することに他ならない。
加えて近右衛門・清十郎・千鶴子が築いて来た三家の盟友関係は未来の為に世代が代わっても維持しなければならないし、それは木乃香の世代でも同じであり仮に近衛家が魔法協会の第一線から退いても雪広那波両家と共に支えるくらいはしなければ義理が立たないのが現実だった。
ただそれでも木乃香が魔法協会の第一線に加わらないことはそれだけで彼女の未来の選択肢を大いにに広げるし、ある程度だが自由に生きられるだろう。
「近衛家は魔法協会の象徴的な存在でいいのかも知れないわね」
穂乃香の理想としては近右衛門が東西を統合させて、夫である詠春がそれを一つに纏める。
そして次世代は長年魔法協会で努力した者達に委ねるべきだと考えていた。
近衛家は雪広家と那波家と共に象徴的な立場で間接的に支えるのが、最も現実的な理想だと彼女は考えている。
流石に木乃香には魔法を教えてないから魔法協会とは生涯関係がありませんとは言えるはずがなかった。
それに本人が自分をどう思ってるかは別にして近右衛門の努力と苦労は東西双方の魔法協会の幹部達は皆理解しているし、誰も後継者が同じことを出来るとは思ってない。
穂乃香としては近衛家は詠春の世代で自らその権力を分散させるべきだと思うし、魔法協会の未来を考えれば雪広家と那波家と共に魔法協会から一歩引いた立場で魔法協会に協力し監視する仕組みが必要だと考えている。
世襲や権力の集中が必ずしも悪い訳ではないが、現状の魔法協会が未来永劫自浄作用が働く組織だとは思ってない。
「後世の人から見ると私達はどう見えるのかしらね」
魔法協会と娘の幸せの両立をと長年考え続けて来た穂乃香は、ふと自分達は後世の人々にどう見られるだろうかと考えてしまう。
仮に自分や近右衛門の考えが上手くいけば歴史は評価してくれるかもしれないとも思うが、結局は狭い組織内部の内ゲバにしか思われないかもしれないと考えると少し複雑な心境になる。
ただそれでも今の穂乃香達には現状以上の急な行動は不可能だった。
以前から度々説明してるが、雪広グループと那波グループは関東魔法協会を支える重要な企業である。
加えて近右衛門と盟友である雪広清十郎や那波千鶴子の発言権は、幹部クラス以上にあるのが実情だった。
尤も雪広家も那波家も魔法協会の運営などには基本的に口出ししないスタンスを取っているが、木乃香達の件や近右衛門の負担軽減などを解決には両家との話し合いが必要不可欠である。
穂乃香自身も雪広グループ代表取締役社長でありあやかの父である雪広政樹や、那波グループ代表取締役社長であり千鶴の父である那波衛とは学生時代からの友人であり気心が知れていた。
近右衛門の負担軽減は正直簡単な問題ではないが、近い将来に魔法の存在を知らせる必要があるのはあやかと千鶴も同じだった。
まあ今回の件と一緒に教える必要まではないが、立場的にも状況的にも木乃香とあやか達は近いものがあるので事前に相談は必要だろう。
それに将来の魔法協会がどうなるかは穂乃香にも分からないが、近衛家・雪広家・那波家の三家は魔法協会から完全に外れることは事実上不可能である。
穂乃香や詠春としても木乃香に直接的に魔法協会を継がせるつもりはないが、だからと言って生涯無関係なままでいられるとは思ってない。
現実的な理想としては木乃香が雪広家や那波家のように、影響力をある程度持ちながらも一歩引いた立場になることであった。
というか木乃香は何も知らぬままなら魔法協会から逃げ出せても、魔法協会と自社企業が密接に繋がる雪広家と那波家は抱えるモノの大きさから逃げ出せないのが実情なのだ。
魔法協会の勢力のおかげで政財界の権力から一定の距離を保つ両家にとって、それを失うことは根本的な戦略を喪失することに他ならない。
加えて近右衛門・清十郎・千鶴子が築いて来た三家の盟友関係は未来の為に世代が代わっても維持しなければならないし、それは木乃香の世代でも同じであり仮に近衛家が魔法協会の第一線から退いても雪広那波両家と共に支えるくらいはしなければ義理が立たないのが現実だった。
ただそれでも木乃香が魔法協会の第一線に加わらないことはそれだけで彼女の未来の選択肢を大いにに広げるし、ある程度だが自由に生きられるだろう。
「近衛家は魔法協会の象徴的な存在でいいのかも知れないわね」
穂乃香の理想としては近右衛門が東西を統合させて、夫である詠春がそれを一つに纏める。
そして次世代は長年魔法協会で努力した者達に委ねるべきだと考えていた。
近衛家は雪広家と那波家と共に象徴的な立場で間接的に支えるのが、最も現実的な理想だと彼女は考えている。
流石に木乃香には魔法を教えてないから魔法協会とは生涯関係がありませんとは言えるはずがなかった。
それに本人が自分をどう思ってるかは別にして近右衛門の努力と苦労は東西双方の魔法協会の幹部達は皆理解しているし、誰も後継者が同じことを出来るとは思ってない。
穂乃香としては近衛家は詠春の世代で自らその権力を分散させるべきだと思うし、魔法協会の未来を考えれば雪広家と那波家と共に魔法協会から一歩引いた立場で魔法協会に協力し監視する仕組みが必要だと考えている。
世襲や権力の集中が必ずしも悪い訳ではないが、現状の魔法協会が未来永劫自浄作用が働く組織だとは思ってない。
「後世の人から見ると私達はどう見えるのかしらね」
魔法協会と娘の幸せの両立をと長年考え続けて来た穂乃香は、ふと自分達は後世の人々にどう見られるだろうかと考えてしまう。
仮に自分や近右衛門の考えが上手くいけば歴史は評価してくれるかもしれないとも思うが、結局は狭い組織内部の内ゲバにしか思われないかもしれないと考えると少し複雑な心境になる。
ただそれでも今の穂乃香達には現状以上の急な行動は不可能だった。