平和な日常~冬~
「食べる量も結構重要なんだよな~」
一方新堂の店でパーティーで披露するスイーツの試作をしていた横島達は、この日は同じスイーツでも大きさを変えて作っていた。
例のクリスマスパーティーではビュッフェスタイルで料理が振る舞われるので、食べる時間や量や順番は人それぞれである。
一口サイズで少しずつ食べる人も居れば同じ物ばかりを食べる人も居る。
当然食べるタイミングや量により味や食後の感想は変わるので、基本的に最高の料理は存在しない。
「あの……何故カステラなのでしょうか?」
「カステラ嫌いっすか?」
この日は当日提供する形や量を考えようとなったのだが、その試作にと作っているのはカステラである。
長崎名物でもあるカステラは日本人に親しまれてるスイーツではあるが、一般的にパーティーに出すには少し不向きであった。
新堂側のスタッフは横島が今日はカステラを作りましょうかと言うと不思議そうに訳を尋ねるが、横島には訳なんて特にない。
基本的に新堂は横島にあまり反論しないので、結局はそのままカステラ作りが始まっていた。
「いっそのこと部屋一つまるごと借りて茶室でも作りましょうか? 環境や空間も料理には大切よね。 茶道部と共同でお抹茶に合う洋菓子なんて面白そう」
突拍子もないスイーツを作り出す横島が普通でないのは今更だが、常識で計れないのは新堂もまた同じだった。
結局のところ食べてくれる人にいかに喜んで貰うかを考えていると、突然茶室でも作ってそこでスイーツを提供しようかと言い出す。
「それは面白そうやわ。 でも出来るんですか?」
「茶室の設置費用をこっちで持てば多分大丈夫よ。 超包子なんて去年は屋台を持ち込んでたもの」
あまりに突拍子もない発言に新堂側のスタッフやのどかは唖然としたり冗談だろうと思ったりするが、木乃香が面白そうだと乗ると新堂は資金さえ出せば多分出来ると告げた。
実は昨年の超包子は例の路面電車型の屋台をわざわざ一度解体して、室内に持ち込み組み立てるという荒業をやってのけていたのだ。
超包子の味は屋台の味だからと工学部の人達に手伝ってもらい設置したらしいが、その行動力には誰もが驚き結果超包子のいい宣伝になったのは言うまでもない。
「茶室かぁ。 それは考えてなかったな~」
結局のところ横島も木乃香も新堂も美味しい物を作りたいのは当然であり、後はいかにしてみんなに喜んで貰えるかを考えている。
新堂の茶室案に横島は多少驚きつつもやる価値はあるなと呟くなど、すぐに本気で考え始めた。
まあ普通に考えるとあまり料理意外の面で変化を出すと色物に走ったかと邪推されがちではあるが、料理やスイーツに自信があるならば必要な遊び心だと受け入れられるだろう。
横島と木乃香は元より新堂も単純な名声は望んでないので、多少は面白そうなことをしたいとの想いがあるらしい。
まして横島も新堂も学校は違えど茶道部にそれぞれツテがあるので、協力くらいならば問題なかった。
特に納涼祭の一件の主催者でもある横島からすると茶室を一つ作るくらいならば朝飯前な訳だし。
「茶室は無理じゃないですか? ドレスや洋服だと正座はまずいでしょうし」
「なにも必ずしも本格的な茶室と茶道をする必要がある訳じゃないわ。 ある程度雰囲気を楽しめたらいいのよ。 パーティーだもの。 仮装して楽しむようなものでもいいのよ」
冗談ですよねといいたげなスタッフの一人に、新堂はパーティーで仮装して楽しむようなものだと告げるとかなり乗り気な様子であった。
麻帆良の料理関係者にとって晴れの舞台であるパーティーも、すでに名声を欲しいままにしてる新堂にとっては一つのイベントでしかないのかもしれない。
一方新堂の店でパーティーで披露するスイーツの試作をしていた横島達は、この日は同じスイーツでも大きさを変えて作っていた。
例のクリスマスパーティーではビュッフェスタイルで料理が振る舞われるので、食べる時間や量や順番は人それぞれである。
一口サイズで少しずつ食べる人も居れば同じ物ばかりを食べる人も居る。
当然食べるタイミングや量により味や食後の感想は変わるので、基本的に最高の料理は存在しない。
「あの……何故カステラなのでしょうか?」
「カステラ嫌いっすか?」
この日は当日提供する形や量を考えようとなったのだが、その試作にと作っているのはカステラである。
長崎名物でもあるカステラは日本人に親しまれてるスイーツではあるが、一般的にパーティーに出すには少し不向きであった。
新堂側のスタッフは横島が今日はカステラを作りましょうかと言うと不思議そうに訳を尋ねるが、横島には訳なんて特にない。
基本的に新堂は横島にあまり反論しないので、結局はそのままカステラ作りが始まっていた。
「いっそのこと部屋一つまるごと借りて茶室でも作りましょうか? 環境や空間も料理には大切よね。 茶道部と共同でお抹茶に合う洋菓子なんて面白そう」
突拍子もないスイーツを作り出す横島が普通でないのは今更だが、常識で計れないのは新堂もまた同じだった。
結局のところ食べてくれる人にいかに喜んで貰うかを考えていると、突然茶室でも作ってそこでスイーツを提供しようかと言い出す。
「それは面白そうやわ。 でも出来るんですか?」
「茶室の設置費用をこっちで持てば多分大丈夫よ。 超包子なんて去年は屋台を持ち込んでたもの」
あまりに突拍子もない発言に新堂側のスタッフやのどかは唖然としたり冗談だろうと思ったりするが、木乃香が面白そうだと乗ると新堂は資金さえ出せば多分出来ると告げた。
実は昨年の超包子は例の路面電車型の屋台をわざわざ一度解体して、室内に持ち込み組み立てるという荒業をやってのけていたのだ。
超包子の味は屋台の味だからと工学部の人達に手伝ってもらい設置したらしいが、その行動力には誰もが驚き結果超包子のいい宣伝になったのは言うまでもない。
「茶室かぁ。 それは考えてなかったな~」
結局のところ横島も木乃香も新堂も美味しい物を作りたいのは当然であり、後はいかにしてみんなに喜んで貰えるかを考えている。
新堂の茶室案に横島は多少驚きつつもやる価値はあるなと呟くなど、すぐに本気で考え始めた。
まあ普通に考えるとあまり料理意外の面で変化を出すと色物に走ったかと邪推されがちではあるが、料理やスイーツに自信があるならば必要な遊び心だと受け入れられるだろう。
横島と木乃香は元より新堂も単純な名声は望んでないので、多少は面白そうなことをしたいとの想いがあるらしい。
まして横島も新堂も学校は違えど茶道部にそれぞれツテがあるので、協力くらいならば問題なかった。
特に納涼祭の一件の主催者でもある横島からすると茶室を一つ作るくらいならば朝飯前な訳だし。
「茶室は無理じゃないですか? ドレスや洋服だと正座はまずいでしょうし」
「なにも必ずしも本格的な茶室と茶道をする必要がある訳じゃないわ。 ある程度雰囲気を楽しめたらいいのよ。 パーティーだもの。 仮装して楽しむようなものでもいいのよ」
冗談ですよねといいたげなスタッフの一人に、新堂はパーティーで仮装して楽しむようなものだと告げるとかなり乗り気な様子であった。
麻帆良の料理関係者にとって晴れの舞台であるパーティーも、すでに名声を欲しいままにしてる新堂にとっては一つのイベントでしかないのかもしれない。