平和な日常~冬~
そのまま穂乃香と鶴子は木乃香が店に来るまで待っていることになるが、タマモが帰って来ると店内は少し賑やかになる。
「はじめまして!」
店に帰って来たタマモは裏に行き手を洗うと、迷うことなく穂乃香達の元に駆け寄り笑顔で元気よく挨拶をした。
「初めまして、私が誰だか分かる?」
「うん、このかちゃんのおかあさん」
当然分かるよと自信満々の表情で言い切ったタマモの判断基準は、もちろん匂いが主である。
まあ見た目も木乃香と似ているし、詠春に比べれば分かりやすいので一目で見抜いてもおかしくはないが。
「よく分かったわね~。 はい、お土産よ」
そんなニコニコと嬉しそうなタマモに穂乃香は持参したお土産をさっそく渡す。
どうもお土産好きの子供だという話が伝わってるらしく、喜ぶタマモがさっそく箱を開けると中身はなんとモガちゃん人形だった。
「うわ~、ありがとう!」
それは横島が知るモガちゃん人形よりだいぶ今風の人形だったが、確かに同じモガちゃんのようだ。
そういえばタマモにはぬいぐるみは遠足のお土産で貰ったうしのぬいぐるみを筆頭に何個かあるが、あの手の人形はなかったなと今更ながらに気付く。
「わざわざ、ありがとうございます」
一方の穂乃香は喜ぶタマモを自然な形で抱き抱えると膝の上に乗せてタマモとお話をしており、その手慣れた様子に横島は少し驚きつつも改めてお礼を口にする。
どうやら穂乃香は元々は子供が好きらしく、若い頃には保育士に憧れたのだと少し懐かしそうに語った。
タマモはタマモでそんな穂乃香に自分の知る木乃香を教えてあげようと考えたようで、木乃香との思い出を本当に楽しそうに語っていく。
「あれ、お母様達もう来てたん? って鶴子さんはなんで将棋?」
その後穂乃香は木乃香達が来るまでタマモと楽しげに話をしていていたが、鶴子は何故か常連の老人達と将棋をさしていた。
しかも鶴子がやたらと強いらしく常連の老人達がかなり熱くなっている。
実は当初は鶴子も普通にタマモと穂乃香の話に加わっていたのだが、いつも店に来ては将棋をしていた近所の老人が相手がなかなか来ないで暇そうにしていたところに彼女から一勝負お願いしたらしい。
「木乃香ちゃんお帰り。 従姉妹のお姉さん強いってもんじゃないよ」
当初は鶴子の気まぐれで始まった勝負らしかったが、常連の老人がビックリするほど鶴子は強いらしくいつの間にか三人ほどの近所の将棋好きな老人が固唾を飲んで二人の対局を見守っている。
「源さんって確か、アマチュアの大会で優勝したんやったよね?」
「ああ、ここのマスターも強いけど彼女は桁が違う」
実は鶴子の対戦相手はアマチュア棋士としてかなり名の知れた人物らしく、近所では有名な老人だった。
横島も以前暇な時に何度か対戦したことがあるが、その際に対等な勝負をする為にと横島が本来持つレベルに思考能力を制限したらアッサリと負けている。
尤も人間並に制限したとはいえ横島も決して弱い訳ではなかったが、こればっかりは相手が悪かったとしか言いようがない。
「そういえば鶴子さんお父様よりも強いんやったわ」
和やかな喫茶店で真剣な面持ちで将棋をさす鶴子と老人に木乃香はただただ驚くばかりだったが、ふと木乃香がまだ京都に居た頃に父詠春が鶴子に毎回将棋で負けていたことを思い出す。
実は神鳴流で最強と讃えられる青山鶴子は、修行の合間に娯楽の一貫として行う将棋に関しても最強だった。
そしてその抜群の感性で強そうな相手を偶然見つけた彼女は、穂乃香の許可をへて勝負を始めたというのが現状である。
「はじめまして!」
店に帰って来たタマモは裏に行き手を洗うと、迷うことなく穂乃香達の元に駆け寄り笑顔で元気よく挨拶をした。
「初めまして、私が誰だか分かる?」
「うん、このかちゃんのおかあさん」
当然分かるよと自信満々の表情で言い切ったタマモの判断基準は、もちろん匂いが主である。
まあ見た目も木乃香と似ているし、詠春に比べれば分かりやすいので一目で見抜いてもおかしくはないが。
「よく分かったわね~。 はい、お土産よ」
そんなニコニコと嬉しそうなタマモに穂乃香は持参したお土産をさっそく渡す。
どうもお土産好きの子供だという話が伝わってるらしく、喜ぶタマモがさっそく箱を開けると中身はなんとモガちゃん人形だった。
「うわ~、ありがとう!」
それは横島が知るモガちゃん人形よりだいぶ今風の人形だったが、確かに同じモガちゃんのようだ。
そういえばタマモにはぬいぐるみは遠足のお土産で貰ったうしのぬいぐるみを筆頭に何個かあるが、あの手の人形はなかったなと今更ながらに気付く。
「わざわざ、ありがとうございます」
一方の穂乃香は喜ぶタマモを自然な形で抱き抱えると膝の上に乗せてタマモとお話をしており、その手慣れた様子に横島は少し驚きつつも改めてお礼を口にする。
どうやら穂乃香は元々は子供が好きらしく、若い頃には保育士に憧れたのだと少し懐かしそうに語った。
タマモはタマモでそんな穂乃香に自分の知る木乃香を教えてあげようと考えたようで、木乃香との思い出を本当に楽しそうに語っていく。
「あれ、お母様達もう来てたん? って鶴子さんはなんで将棋?」
その後穂乃香は木乃香達が来るまでタマモと楽しげに話をしていていたが、鶴子は何故か常連の老人達と将棋をさしていた。
しかも鶴子がやたらと強いらしく常連の老人達がかなり熱くなっている。
実は当初は鶴子も普通にタマモと穂乃香の話に加わっていたのだが、いつも店に来ては将棋をしていた近所の老人が相手がなかなか来ないで暇そうにしていたところに彼女から一勝負お願いしたらしい。
「木乃香ちゃんお帰り。 従姉妹のお姉さん強いってもんじゃないよ」
当初は鶴子の気まぐれで始まった勝負らしかったが、常連の老人がビックリするほど鶴子は強いらしくいつの間にか三人ほどの近所の将棋好きな老人が固唾を飲んで二人の対局を見守っている。
「源さんって確か、アマチュアの大会で優勝したんやったよね?」
「ああ、ここのマスターも強いけど彼女は桁が違う」
実は鶴子の対戦相手はアマチュア棋士としてかなり名の知れた人物らしく、近所では有名な老人だった。
横島も以前暇な時に何度か対戦したことがあるが、その際に対等な勝負をする為にと横島が本来持つレベルに思考能力を制限したらアッサリと負けている。
尤も人間並に制限したとはいえ横島も決して弱い訳ではなかったが、こればっかりは相手が悪かったとしか言いようがない。
「そういえば鶴子さんお父様よりも強いんやったわ」
和やかな喫茶店で真剣な面持ちで将棋をさす鶴子と老人に木乃香はただただ驚くばかりだったが、ふと木乃香がまだ京都に居た頃に父詠春が鶴子に毎回将棋で負けていたことを思い出す。
実は神鳴流で最強と讃えられる青山鶴子は、修行の合間に娯楽の一貫として行う将棋に関しても最強だった。
そしてその抜群の感性で強そうな相手を偶然見つけた彼女は、穂乃香の許可をへて勝負を始めたというのが現状である。