平和な日常~冬~

さて放課後になると横島の店ではテストを終えた少女達が問題用紙を持って集まっていた。

期末テストに関しては主要五教科に加えて副教科と言われるそれ以外のテストもあるので、この日は主要五教科のテストをして明日には副教科のテストをする予定である。


「よく出来たじゃんか」

みんなが持って来た問題用紙を見ながら山かけの的中率と少女達の自己採点の結果を確認していく横島だったが、のどかと木乃香に関しては相変わらず高いレベルで安定しており明日菜に関しても前回を上回る点数のようだった。

流石に前回までのように点数の急上昇はしてないが、裏を返せばそれだけ安定して来た証だろう。

夕映達バカレンジャー組に関しても赤点のラインは越えたようで、横島はこちらも含めてホッとしている。


「しかし、よくこれだけテスト予想が出回ったな」

明日の副教科のテストがまだ残っているが主要五教科のテストは無事に終わり少女達はテストの重圧からほぼ解放されてテンションが高いが、横島は常連の少女達が持ち込んだ今回のテストの他の人の山かけや予想問題の数々を見ていた。

主に家庭教師や塾の講師が作った予想だったが、以前横島の山かけが出回ったのと同じように他の人の予想もかなり出回っていて山かけの参考にと横島にまで渡っていたのだ。


「あんまり派手になると対策を取られませんか?」

「対策って言っても騒ぐほどのことしてないぞ。 授業でヒントや重点的な部分を教えないくらいだが、そんなことしても誰も得しないだろうが」

山かけや予想の的中率は多少ばらつきはあるもののどれも似たり寄ったりで、横島の山かけも特に抜きん出てる訳ではない。

ただ夕映なんかは今回のテストで山かけや予想が複数出回ったことを気にしており、今後対策を取られないかと心配げな様子である。

しかし横島はそれはないだろうと考えておりあまり心配してない。

そもそも学校外で勉強を教えたりテスト対策をすることは、決して珍しいことではないのだから。

元々家庭教師や塾の講師が学校のテスト対策をすることは麻帆良に限らず昔からあったことだし、喫茶店のマスターをしてる横島がテスト対策をしたこと自体は珍しいが、やってることはさほど目新しいモノではなかった。

一説には子供の偏差値が親の収入に比例してるとも言われるが、現状で山かけやテスト予想を出来なくすることが必ずしも生徒の為になる訳ではない。

少なくとも塾や家庭教師に行かない一般生徒が不利になるようなことはしないだろうと横島は考えていた。


「まあどっちにしろ俺の予想はのどかちゃん達が居れば困らんから問題ないよ」

とりあえず今回も無事にテストが終わったとホッとする横島は、夕映に大丈夫だからと告げると他の常連の少女達の自己採点やミスを教えたりしていく。

流石に明日もあるのでまだ馬鹿騒ぎはしてないが、店で勉強していたメンバーは一応にそれなりの成果はあったらしく表情が明るい。

そしてそんな少女達の表情に誰よりも喜びを感じていたのはやはり横島とタマモである。

特にテスト勉強期間中はなかなかみんなに遊んで貰えなかったタマモは、あちこちにひっぱりだこで横島よりも人気だった。




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